投稿日時:

同じ部署の人が突然部署異動や退職などにより、その人の業務を突然引き継がなければならなくなった経験はありませんか?もしかしたら、逆の経験を持っている方もいるかもしれません。

このような急な人事異動が発生すると多くの場合、上司が異動する人に対し「次の人がしっかりと引き継げるように、あなたの業務をドキュメントに残しておくように」という指示を出す事と思います。
この時、すぐに引き継ぎ先が見つかれば、引き継ぎ相手と相談しながら必要なドキュメントを整理すればよいので、ドキュメント整備の方針が明確となります。しかし、多くの場合は引き継ぐ人が居なく誰に向けて書けば良いドキュメントなのかわからなかったり、一時的に同じ部署で自分の業務で手一杯の人に対して引き継ぎが行われる事となり、ほとんどドキュメントを整備することなく異動の日を迎えるという事も多いのではないでしょうか。

引き継ぎドキュメントの作成に困ったときは、初めて現在の部署での仕事をやり始めたときの事を思い出してください。まず最初に、その部署特有の単語がわからず、関係者の立ち位置がわからず、業務の全体像が見えないために、自分がやっているタスクが、どのような意味があるのかわからない、という経験はありませんでしたか?

そこで、ドキュメント整備コラムの第2弾でお届けしました、ドキュメント一覧を作成するところから始めましょう。
ドキュメント一覧を「作業(業務)一覧」に置き換えて、時系列で並べると良いでしょう。「月次、週次、日次」などの定常的な作業の整理から始め、定常的ではないが、最初にとまどった作業を洗い出し、それぞれに対して簡単な説明を記載するだけで、引き継ぎ資料の目次ができあがりますね。後は、それぞれの業務を初めて実施した時の事を思い出しながら、困ったことやコツなどを記載していくと、引き継ぎドキュメントが単純な引き継ぎだけではなく、業務マニュアルになっていく事と思います。
各作業の成果物の格納場所や、参考となるマニュアルなどへの誘導も忘れないようにしましょう。

もし、最初の頃の事はすっかり忘れてしまったという人は、異動が決まる前の自分の1か月間の作業を全て時系列に並べて書き出してみてください。自分では当たり前と思っているレベルでも全て書き出す事が重要です。業務に慣れきっている人にとって、一覧作成が最も大変で手間がかかる作業になると思います。特に本人にとってドキュメント化するレベルではないと思う内容を書き出すのは、「本当に意味があるのか」と思われがちですが、何も知らない人に向けたドキュメントのつもりで作成すると、引き継ぎドキュメントとしての効果を発揮しやすくなります。

よく長期間その部署にいる人は、「これまで業務を教えてもらったことなどない」「自ら経験しなければわからない」と言いますが、また他の人に0から同じ事をさせるのでは、会社にとって業務効率が悪すぎます。もう少し視野を広げ、自ら習得した知識を少しでもドキュメントに残し、後から同じことを実施しなくても、良いようにしましょう。

また、「ドキュメントに残せるような業務は無い」と言う人も居ますが、人というのは業務の中で、自分にとっての当たり前が他の人にとっても当たり前と思ってしまいがちです。そのため、ドキュメント整備においては「行間を読む」「あうんの呼吸」みたいなものを読み手に求めてしまう部分がありますが、初めての人にはわからないと思ってドキュメントを残すことが意味のある引き継ぎドキュメントに繋がるポイントです。

◆引き継ぎドキュメント作成のポイント
 ・時系列をカテゴリに作業一覧を作成する
 ・現在の部署に初めて来た時を思い出す
 ・自分の当たり前と他の人の当たり前は違うと意識する

業務の引き継ぎにおいて、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉にあるように、全て完璧にすることは不可能だと思いますが、なるべく後の人が困らないようにしてあげる優しさを持てると良いですね。
本コラムが、読者の皆さんの日々の業務に役立てば幸いです。

(担当:小口 真己