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前回のWeb系コラムでは、Webサイト制作に関する全体のワークフローについてご紹介しました。今回は、Webサイト制作における最初の段階で実施する「現状分析」について見ていきたいと思います。

現状分析の段階では、最初に「情報収集」を実施します。そこで、今回は主に3つの方法として「1.他社と自社のWebサイト比較」、「2.アクセス解析」、「3.検索サイトからのキーワードチェック」をご紹介します。

1.他社と自社のWebサイトを比較する
同業他社のWebサイトや、異なる業界でも似たようなお客様をターゲットとするWebサイトと、自社のWebサイトを比較することで、Webサイトの構成を考える際に具体的なイメージを持ちやすくなります。

2.アクセス解析をする
アクセス解析とは、自社Webサイトにアクセスする人の動向を知ることです。有名な無料のアクセス解析ツールには、Webサイトに組み込み使用するGoogle analyticsがあります。
アクセス解析を行うことで、アクセスした人の何%が成約(商品の購入などに至ること)しているか、何時何曜日にアクセス数が上がっているかを情報として取得できます。他にも、検索サイト経由で表示されたページ以外は閲覧せずにWebサイトを去った来訪者の割合などもわかります。

また、ある来訪者が目的と思われるページにたどり着くまでに迷うことがないかをチェックすることも重要なポイントです。現状のWebサイトのレイアウトやデザインがわかりやすいかどうか、ユーザービリティに関するチェックを行い、問題点を発見したら次の「課題の設定」へ反映させます。

Webサイトの来訪者の情報は、「現状分析」の次の段階となる「企画」で効果的な戦略を考える際にも有用です。
例えばalexa.com(Webサイトがどれだけの人に見られているかが確認できるWebサイト)で調べると、Yahoo! JAPANにアクセスした人が一日当たり約15分間Webサイトに滞在し、20%弱の割合の来訪者は検索サイトからたどり着いたページ以外に進むことなく去るという情報(掲載日現在)を簡単に確認することができ便利です。

3.キーワードチェック
キーワードチェックとは、来訪者がYahoo! JAPANやGoogleなどの検索サイトで何らかのキーワードによって自社サイトを調べる場合に、きちんと表示されるようにWebサイトが設計されているかをアクセス解析ツールなどを使用して確認することです。
例えば、何のキーワードでWebサイトを検索して来訪したのか、主力となる商品を検索サイトで調べた場合、競合と自社のWebサイトの順位の差があるかどうか、などを調べます。検索結果の順位はWebサイトを閲覧してもらうために大切な指標の1つですが、最も重要なのは目的を持ってWebサイトにアクセスした人に「成約してもらう」(アクションをおこしたもらう)ことです。
必ずしも検索サイト上の順位と実際の成約率は一致しないことに注意が必要です。Webサイトの運営段階では、1000人の来訪者がくれば何%の割合で成約する、という数値が出てきますので、成約率(コンバージョン率と呼ばれます)を増やすために、Google adwordsなどを利用してWeb上に広告を掲載し、来訪者を増やす方法もあります。

上記3つの方法で情報を収集する以外にも、ユーザーに今のWebサイトの使い心地を尋ねる方法があります。「情報を探していた際、どこかでつまづいた点はないか」、「Webサイトを開いた時にどういった印象を受けるか」といった問題点の有無や検証には、実際に尋ねる方が早い場合もあります。直接アンケートなどを取る場合は、「来訪者が、どのような時に、何を求めてWebサイトに来るのか」が最も重要な情報になります。従って、この情報を適切に聞き出せるような質問を準備すると良いでしょう。

「情報収集」の次の作業となる「課題の設定」は、「情報収集」で取得した情報を分析して解決すべき課題を明確にします。「課題の設定」には通常のマーケティングの手法を存分に活かすことが可能ですので、ここでは詳細な説明は省きますが、「情報収集」から「課題の設定」へつなげて何らかの対応策を打つことで、Webサイトを改善し続けるための良いサイクルを生み出すことができるでしょう。

今回は「現状分析」を行う3つの方法をご紹介しました。次回は「企画」の段階についてお話ししたいと思います。
皆様のお役に立てば幸いです。

(担当:斉藤 万幾子