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新年明けましておめでとうございます。フロンティアリンクの佐藤 啓です。昨年も皆様には大変お世話になり、感謝申し上げます。本年も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年は皆様にとって、どのような一年でしたでしょうか。昨年一年のトピックとして、世の中では「2020年東京オリンピック開催決定」「半沢直樹の大ヒット」などがあり、年末には日経平均が6年ぶりに16,000円を超えるなど、景気も少しばかりは上向いてきているのかなという感覚をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。

私自身が一番注目したニュースは、昨年3月にアメリカの宇宙関連のベンチャー企業である「スペースX」社が、民間としては初めて、宇宙ステーションへの宇宙船ドッキングに成功し、補給物資を輸送したことでした。スペースX社はアメリカのオンライン金融サービス「PayPal」を立ち上げ、その後電気自動車を製造する「テスラモーターズ」のCEOとなるイーロン・マスク氏が設立した会社です。彼は「インターネット」「クリーンエネルギー」「宇宙」の3つの分野で革新的な仕事をしたいと考え、「インターネット」は「PayPal」、「クリーンエネルギー」は「テスラモーターズ」で成功を収めました。そして、今は「宇宙」の分野でも成功に近づきつつあります。

私自身が現在一番注目する企業家がこのイーロン・マスクなのですが、彼が素晴らしいと思うのは「100年先を見据えた活動」を考え、それを実際に実行していることです。彼が「宇宙」を目指そうと思った一番の理由は、温暖化等による地球の気候変動と、100億人が視野に入った人口増加、それらに地球環境が耐えられなくなるので、人類はこの先、宇宙を目指さなければ生き残れない、というところにあります。

実は、私自身も全く同じことを前々から考えていました。私自身は「教育」「食料・水・エネルギー」「宇宙」この順番に残りの起業家人生を進んでいきたいと考えています。最後が「宇宙」なのはイーロン・マスクと同じく、このままでは地球環境が持たないという課題意識からです。では、例えば火星に人類が居住することを考えると、何が必要か。少なくとも、「食料と水」そしてそれを生産する「エネルギー」が必要なことは間違いありません。しかも、土壌も大気も地球とは全く違う環境の火星では、ある種の「工場」のような閉鎖環境で食料・水・エネルギーを生産する必要があります。この実現にはさらなるテクノロジーの進化が必要です。それを担うエンジニアや研究者はどうするのか。そうなったときに「教育」が必要になります。すなわち、意欲のあるエンジニアや研究者を育て、一緒に学び合い成長できる仕組み。これがなければ、今後の人類の発展はないと私は考えています。だからこそ、「教育」の分野に革新を起こすこと、これが私自身の直近での最大の目標になっています。

近年はよく「先の見えない世界」だと言われますが、私自身は実はそうは思っていません。「見えない」のではなく「見ようとしていない」だけなのではないか、と。例えば、日経平均が16,000円を超え、今年は18,000円や2万円を目指せるかもしれない、こうなるとまたバブルが来るかもしれない、と一部では言われています。ですが、バブルが来ると必ず「終焉」がやってくることは歴史が証明しています。それでなくとも、日本の国家債務のGDP比率はすでに200%を超えていますので、どこかで大きな「揺り戻し」あるいは「リセット」が来ることは間違いないと思います。もはや「起こる・起こらない」の問題ではなく、それが「いつ起こるか」というだけの話でしょう。あるいは先ほど述べたような「人類がこのままの規模で地球環境に負荷を与え続けると、どうなるか」これも、少し考えれば想像できると思います。もしくは、現在進行中の「日本の少子高齢化」これも同じ話が言えるでしょう。

「難しいことは政府や経営者などの『えらい人』に任せて、自分はそこそこ楽しめたらいい」と考えれば、確かに楽かもしれません。ですが、少し考えれば先に述べたように、「大きな変化」あるいは「危機」が迫っている可能性が高いのは、理解しやすいのではないかと思います。その変化や危機を乗り越えるのは「えらい人」の責任で、自分はそれに従えばよいと考えるのか、あるいは「何ができるかは分からないけれど、一緒に乗り越え、より良い方向に進めるように考えてみようか」と思うのか。言い換えれば「自分の運命を他人任せにするか」「自分の運命は自分で切り開くか」の違いとも捉えることが出来ます。

このような話をすると、「スキルが・・・」「経験が・・・」「年齢が・・・」等の理由を色々と考えてしまうかもしれません。「出来ない理由」ですね。ですが、もしこのように考えてしまう傾向があるのであれば、逆に「どうすれば出来るか」を考えてみると面白いと思います。何も「素晴らしいことを完璧に行う」ことを要求されているわけではありません。少しでも「こうなったらいいのに」に近づけるような何かを、まずは考えてみること。「こうなったら困るな」という「ネガティブイメージ」ではなく、「こうなったらワクワクするな」という「ポジティブイメージ」で考えてみることですね。

実は、このような「物事に対する捉え方」や「ビジョンの考え方」あるいは「課題解決のアプローチ」など、一言でいえば「どう生きるか」というテーマこそ、教育が最も力を入れるべき分野だと私は考えています。先に述べた「エンジニアや研究者を育てる」仕組みはもちろん大切ですし、それ自体は弊社にて現在仕組みづくりを進めているところでもあります。ですが、「エンジニアや研究者を育てる」という話は、もう少し広く捉えれば「どう生きるか」というテーマの中の「一分野」でしかありません。「どう生きるか」を意識しつつ、ビジョンの検討や課題解決の方法を一緒に考え、互いに教え合うことが出来るような仕組み。これが今の教育に求められている一つの大きなポイントであると私は考えています。

この仕組みの実現に際し、重要な点は「議論し、考え、教え合う場」を作ることと、参加あるいは運営する「仲間」を広げることにあります。大きな志を持つ人から、少しばかり興味を持つ人まで、色々な仲間が集うことで、仕組み自体が活性化するとともに、レベルアップしていきます。もちろんですが、参加する人自体も、様々な意見や考え方に触れ、それに基づいて自分自身も考えることで、成長することが期待できます。そのような「参加者だけでなく、仕組みそのものが自律的に成長する教育」手法を、私自身は今年のテーマの一つとして考えていきたいと思っています。

よりよい社会を実現するために必要不可欠な「教育の革新」に、フロンティアリンクは今年も全力で取り組んで参ります。
皆様の引き続きの温かいご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年 元旦
フロンティアリンク株式会社
代表取締役社長  佐藤 啓