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Web系の講座にご参加される方の中には、Webサイトの更新を自ら実施したいお客様だけではなく、Webサイトを外注する際に自分たちもWebの基本知識を知っておきたい、というお客様がいらっしゃいます。Web制作会社に依頼をしようという方、また自社のWebサイトを自分たちで更新しようという方にとって、Webサイト制作のワークフローを知っておくことは重要です。そこで、今回はWebサイト制作のワークフローをご紹介いたします。
Webサイト制作では大まかに分けて5つの段階に分けられます。

Webサイト制作のワークフロー(ここでは静的サイトを想定しています。静的サイトとは、ユーザーが文章投稿などの操作を行わないWebサイトのことをいいます。)

1.現状分析
・情報収集(既存のWebサイトがある場合は、その集客状況やユーザビリティなどからユーザーの動向を探ります。解析用の様々なWebサービスがあります。)
・課題の設定(情報収集で知りえた情報から、課題を明確にします。)
 
2.企画
・目的の決定(「商品を売りたい」、「商品の知名度を上げたい」、など目的を明確にすることです。数値の目標設定があると、後にWebサイト分析を実施する際の有用な指標となります。)
・コンセプト作り(簡潔で具体性のある一言をイメージしてください。例えば「30代会社員男性が少し特別な日のために質の良い洋服が選べるセレクトショップ系通販サイト」というイメージです。)

3.制作準備
・作業計画の決定
・素材準備(画像データ、文章)
・全てのページの情報構造の決定

4.制作 (この段階からの修正指示は少し難しいものと心得ておきましょう。)
・HTMLマークアップ、CSSスタイリング、プログラム制作
・適切なサーバー選択
・ブラウザでの表示確認、動作テスト

5.運用
・Webサイトの公開
・ユーザー対応(様々な問い合わせが来ますが、この対応がおろそかですとせっかくWebサイトによって良い印象を与えていても実際問い合わせたら逆の印象を持ったということにもなりますので注意が必要です。)
・検索エンジンから来訪するユーザーへの集客活動(SEO、バナー広告、メール広告、アフィリエイト、メールマガジン会員の獲得)
・Webサイト分析

上記のような流れでWebサイトは制作されています。Web制作会社に依頼する場合でも、自社でWebサイトを更新する場合でも、Webサイトの公開までこぎつけるまでには様々な工程があります。それぞれの工程では、いくつかある選択肢の中で「どれを選ぶべきなのか」に悩むことも多いと思います。その際、決め手になる判断基準は、「2.企画」の段階で決定する「Webサイトのコンセプト」です。例えば、「Aのデザインのボタンがいいのか、Bのデザインのボタンがいいのか」、という選択をする際、「2.企画」で設定した「Webサイトのコンセプト」にどちらの方が合致するかという問題に置き換えることで、通常数週間から数ヶ月に及ぶWeb制作期間においても、ブレの無い判断を行うことが可能になります。

もし、この「Webサイトのコンセプト」があやふやだったり、または誰かが納得していないまま次の段階へ進めてしまうと、工程ごとにコンセプトから離れた作業が発生することになりかねず、結果として時間をかけて完成させたものが目的を達成しないWebサイトになってしまうことにもなりかねません。従って、作業する側と作業依頼する側が「Webサイトのコンセプト」という共通の認識を徹底させることは、後の3.制作準備や4.制作の段階での余分な作業を省くことにも通じています。

そして「2.企画」の段階において、Webサイトのコンセプトだけではなく「目的を決める」ことも大切です。そこで、「Webサイトの目的」にポイントを絞って具体例を見てみたいと思います。以下の例から、Webサイトの目的が商品情報の周知なのか、問い合わせ件数増加かによって、Webページの構成などが明確に異なっていることが確認できるのではないでしょうか。

SHISEIDO ELIXIR SUPERIEUR

目的は商品情報の周知ですね。商品情報が最も目に入りやすくなるようなレイアウトが、Webページ全体のドラマティックな色遣いによって強調されています。検索からの来訪者にとって期待通りの情報が美しいグラフィックによって提供されており、商品情報だけでなく高級感のあるブランドイメージも強く印象を残すようなWebページとなっています。

MEGALOS SPORTS CLUB

目的は問い合わせ件数の増加にあるでしょう。訴求力のある文面を前面に押し出したキャンペーンバナーを最も目立つ場所に配置しています。1クリックすればすぐに店舗一覧のページへ飛ぶ導線を置くことによって、問い合わせ件数の増加につなげている構成です。

今回はWebサイト制作時のワークフローと、「Webサイトのコンセプト」、「目的の決定」の重要性についてお話しました。次回は「1.現状分析」での重要なポイントにつきましてお話したいと思います。
皆様のお役に立てば幸いです。

(担当:斉藤 万幾子