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プレゼンでは「アニメーション」を使用した方が良いのでしょうか? また、使用する際に気をつけるべきポイントはありますか?
まず、「アニメーション」という言葉自体を定義しましょう。パワーポイント上の「アニメーション」には2通りの解釈があり、

  1. 狭義の「アニメーション」:オブジェクト(テキストや図・表・グラフなど)の個別単位で設定する動き。パワーポイント上では「アニメーションの設定」から設定する
  2. 広義の「アニメーション」:画面上の動き全体を示す言葉。ここには狭義のアニメーションの他に、画面切り替え効果(スライド切り替え時に画面全体に発生する動き)も含まれる

となります。

まず、最初のご質問である「アニメーションを使用した方が良いのか」という点については、広義のアニメーション=「画面上の動き」があった方が良いのかという視点で回答します。この点については色々な考え方があると思いますが、私自身の回答は「使用せずに同じ効果を別の方法で追求した方が良い」です。

アニメーション自体には大きく2つの効果があります。

  1. 強調
  2. 聴衆の目線のコントロール

まず、アニメーションには動きが伴うことから、その部分が自然と強調されたり、印象深くなるという効果があります。一方でアニメーションを使用しすぎると、聴衆がその動きに気を取られてしまって肝心の話に集中できなくなったり、聴衆に「うるさい」「雑多な」印象を与えてしまったりする可能性が高くなります。

最も注意すべきポイントは、アニメーションは「ついつい盛り込みすぎてしまう」ことが多くなる点にあります。アニメーションの設定自体は「目に見えて動きが分かる」ので「楽しい作業」に感じてしまうことが多いのですが、その反動で「設定しすぎてしまう」言い換えれば「聴衆への効果を考えず、自己満足で設定をどんどん進めてしまう」可能性が存在します。結果として前述のように「集中できない」「うるさい」「雑多」という印象を聴衆に与えてしまうのであれば、本末転倒です。

そのため、私自身は原則として、強調や印象を深める目的でのアニメーション使用は一切行わないようにしています。解決方法の一例としては、ビジネスパワーアップコラム<プレゼン編> 第十二回でご紹介した「シンプルプレゼン」の考え方がありますので、参考としていただければ幸いです。

なお、もう一つのご質問である「アニメーションを使用する際に気をつけるべきポイント」の回答にもなりますが、上記の注意点に加えて、アニメーションを使用する際にはもう一つの効果である「目線の動きのコントロール」という点に留意することをお薦めします。

スライド上に複数の論点やポイントが存在する場合、全て同時に画面上に表示をさせてしまうと、聴衆が注目する場所をプレゼンターがコントロールしにくくなります。そのような場合には、プレゼンターが注目して欲しい画面上の構成要素の順番に従って、アニメーションを使用して表示タイミングをコントロールすることにより、聴衆の目線のコントロールが可能となります。結果として、聴衆が理解しやすくなるプレゼンを実現することが可能となります。

ただし、この「目線のコントロール」についても、裏返せば「スライドに要素を盛り込みすぎている」から行わなければならない話ですので、「スライド上の構成要素の見直し」や「別スライドへの切り分け」等、アニメーションを使用しない方向でまずは解決方法を検討することをお薦めします。

まとめますと、

  1. アニメーションには「強調」「印象の深化」「目線のコントロール」というメリットがある
  2. ただし、使用しすぎると逆にプレゼンの理解度や印象を下げる可能性が高くなるというデメリットがある
  3. アニメーションは性質上、使用しすぎてしまう可能性が高いので、別の手段で同様の効果を得ることを検討した方が良い

ということになります。

これらの点に基づいて、ご自身で最終的な判断を行っていただければと思います。

(担当:佐藤 啓