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前回のWeb系ブログコラムでは「既存サイトに新規バナーを追加する」際に検討すべき要素として「色の誘目性」ついてお話ししました。今回はシリーズの第3回目として「色の識別性」について説明したいと思います。

色の識別性とは、色が持つ効果による物事の識別しやすさのことです。実は、私たちは日常的に色の識別性によって様々な物事を識別しています。例えば温泉に入る際、男湯の暖簾には青系の色、女湯には赤系の色がよく使用されています。従ってどちらに行くべきかを素早く色で判断できます。他にも、スーパーに行った時に食べ物の色味によって新鮮さの区別をすることも識別性を利用しています。また、テレビに接続するAVケーブルのコネクター(接続部分)に異なる色を使用していることがありますが、これは誤った判断が行われにくくするための識別性を利用した工夫の1つです。
前回までのWeb系コラム2回を通して、「色の視認性」と「色の誘目性」についてお話ししてきました。実は識別性の高い色とはこの2つの性質が高い水準であることが多いのです。識別性の高い色が視認性と誘目性の2つの性質を兼ね備えている場合、強力な効果が見られます。

このように無意識に前提としているようなイメージに対して、識別性の高い色を使用することによって視覚に働きかけることが可能ですが、このテクニックはWebにも活用できます。
具体例としてボタン画像があります。例えばショッピングサイトで商品を選択して購入手続きを決定する際、「購入を決定する」ためのボタン画像がある場合がほとんどです。その場合設置されているボタン画像は暖色系の色にした方がいいか、それとも寒色系の色にした方がいいかというお話があります。一般的に、「はい」は暖色系の色、「いいえ」は寒色系の色がよく使用されていることが多いのです。そのため「購入を決定する」ことを判断する相手の心情に無意識に「はい」のイメージを印象付ける一つの手段として、暖色系の色を使用する方が効果的です。また、購入決定ページまで手続きを進めた相手にとっても、「はい」と答える場合に暖色系の色が使われている方が、無意識下の心情としても違和感が無いでしょう。ただし、デザイン上の観点からWebサイトに使用されているテーマカラーの範囲でボタン画像を作成することもあるため、その場合は個別に色を選択することになると思います。

色にはそれぞれ別々のイメージが備わっていますので、色のイメージを活かした色の識別性を利用することにより、心理的な効果を考慮したバナーの制作も可能となります。ぜひ今後にお役立ていただけましたら幸いです。

(担当:斉藤 万幾子