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ビジネスパワーアップコラム<ロジカルシンキング編> 第十三回

前回のロジカルシンキング編コラムでは、論点の関連づけを考える際の思考方法である「帰納法」についてのお話をしました。帰納法で考える際には、

1. 複数の論点に存在する「類似点」を見い出すこと
2. その類似点に適用可能な「共通キーワード」を考えること

以上の2点に留意することが基本であることを押さえておく必要がありました。

これまでの3回のコラムでは「論点同士の関連づけ」に関する考え方を採り上げてきましたが、ここでもう一度「ピラミッド思考の原則」を思い出してみたいと思います。第七回のロジカルシンキング編コラムにてお話しました通り、話を上手に広げる際には「ピラミッド構造」を意識することが重要でした。ピラミッド思考の原則とは、

・掘り下げ=「縦方向思考の原則」
・広がり =「横方向思考の原則」
・優先順位=「順序の原則」

この3つの原則をまとめ上げたものであり、物事を考えるときには「掘り下げ」「広がり」「優先順位」の3点を常に考慮する必要がありました。

これまでのコラムではこれら3つの原則事項のうち、「縦方向思考の原則」「横方向思考の原則」及びそれに関連する「論点の関連づけ」についての説明をしてきました。今回のコラムからは、ピラミッド思考の原則を構成する最後の要素である「順序の原則」についてのお話をしていきたいと思います。

皆さんは、プレゼンや商談、あるいは社内会議等の場面で、「聞きたい話はこの話ではないのに」「いつになったら本題が始まるのだろう」などと感じたことはありますでしょうか? これまで説明をしてきた「掘り下げ」「広がり」及び「関連づけ」は、論理的に話を展開する上での重要なポイントであることには間違いありません。しかし、この「いつになったら本題が・・・」というイメージで分かるとおり、「説明の順序」が適切でなければ、個別の論点・話題がどれだけ論理的に説明されていたとしても、全体としての効果は大きく損なわれてしまいます。ですので、「論理的な話の構成を考える」上では、「順序」も非常に大切な役割を果たすことをまずはイメージしていただければと思います。

説明の順序を検討する際の最初のポイントは、自身が使用している論証法が「演繹法」と「帰納法」のどちらであるかを確認することとなります。演繹法は「ロジックライン」のイメージから分かるように、「大前提 → 小前提 → 結論」という流れが固定されています。そのため、演繹法を使用している場合には、ロジックラインの流れに従って順番を構成すればよいことになります。一方で、帰納法を使用している場合には、グループ化した各構成要素同士の順序を論理的に決定する必要があります。例えば東南アジアの構成要素の説明順序について、「ベトナム」「タイ」「マレーシア」と説明するか、「タイ」「ベトナム」「マレーシア」と説明するかを「論理的な理由に基づいて」決めなければならないということですね。

では、実際に「論理的な順序」を考える上での具体的な方法を説明したいと思います。順序の原則においては、論点同士の順序に関し、以下の3つの順序のいずれかを適用します。

・時系列順
・構造順
・重要度順

これら3つの順序の意味を簡単に説明しますと、

・時系列順=因果関係もしくは実行ステップの順序
・構造順=目に見える様子をそのまま書き表した順序
・重要度順=類似性に基づくグループ内の度合いによる順序

となります。

説明の順序を考える上で「適切な順番」に悩んでしまうケースはよくあると思います。ですが、実際の「論理的な順序」を考える上では、実はこの3通りのパターンのいずれかが必ず適用されることになります。従って「順序構成については『時系列』『構造』『重要度』のいずれかしか存在しない」と覚えてしまえば、シンプルに考えを進めることが可能となります。

「時系列順」「構造順」「重要度順」の詳細については次回以降のコラムで改めて解説していきますので、今回のコラムにおいては、まずは

・論理思考においては適切な順序構成が重要である
・順序構成については「時系列」「構造」「重要度」の3パターンしか存在しないので、そのいずれかを適用すればよい

以上のイメージをしっかりつかんでいただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓