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ビジネスパワーアップコラム<ロジカルシンキング編> 第十四回

前回のロジカルシンキング編コラムでは、ピラミッド思考の原則を構成する最後の原則事項である「順序の原則」についての概要を説明しました。ある論点グループ内での順序を考える際には、

・時系列順=因果関係もしくは実行ステップの順序
・構造順=目に見える様子をそのまま書き表した順序
・重要度順=類似性に基づくグループ内の度合いによる順序

この3つの順序の「どれか一つ」を適用することになりますので、この点を意識しながら順序の検討を進める必要があることがポイントでした。

今回のコラムからは、これらの順序に関する思考方法について詳しく採り上げていきたいと思います。第一回目は「時系列順」です。

時系列順とは「因果関係もしくは実行ステップの順序」と説明をしましたが、時系列順を適用することが可能な論点グループにおいては、原因と結果の関係である「因果関係」、もしくは実行プロセスにおける各「ステップ」の前後関係が明確であることが必要となります。以下、それぞれの簡単な例を示しながら解説をしましょう。

例1:お客様からのクレーム発生に関する報告

1. クレーム発生原因の確認
2. クレーム発生状況の整理
3. お客様への対応状況の整理
4. 再発防止策の確認

まず、因果関係に関する簡単な例を考えてみます。例1に示す「お客様からのクレーム発生に関する報告」においては、「2. クレーム発生状況の整理」(=実際にどのようなクレームが発生したのか)をまずは報告することを通常は考えると思います。ですが、「○○というクレームが発生しました」という報告だけでは、クレームが発生した「原因」や、クレーム発生に伴う対応の「結果」等が不明確となり、報告としては不十分な印象となります。

このような場合は、クレームが発生した「原因」や、対応の「結果」までを含めて情報を整理し直すことで、論点が明確になります。例えば上記の事例では、まず「1. クレーム発生原因の確認」により、クレームを引き起こしたそもそもの要因に遡ります。その上で、「クレームを生み出す原因」に基づく「結果」として、「2. クレーム発生状況の整理」をし、実際のクレーム内容を報告します。さらに、「3. お客様への対応状況の整理」では、実際に発生したクレームを「原因」と考え、その「結果」としての対応状況をまとめます。最後に「4. 再発防止策の確認」で、今回のクレーム対応結果を「原因」に置き換え、その「結果」として、将来的に同様なクレームの発生を防止するための対策について触れています。

ここでの大切なポイントは、この例における1~4の論点は、それぞれが「原因」と「結果」の関係、すなわち、1を原因として2の結果が生じ、2を原因として3の結果が生じ、3を原因として4の結果が生じている、ということになります。このような「因果関係」が明確に考えられる場合には、原則として説明の順序はこの「原因→結果」の時系列順となります。

それでは、次は実行ステップ順に関する簡単な例を考えてみます。

例2:生産性向上プロジェクトの立ち上げ

1. 現状の業務フローの確認
2. 現場でのヒアリングの実施
3. 改善点の洗い出し

例2に示す「生産性向上プロジェクトの立ち上げ」においては、「1. 業務フローの確認」を行うことで「2. 現場でのヒアリングの実施」が出来、さらに「2. 現場でのヒアリングの実施」を行うことで「3. 改善点の洗い出し」を行うことが可能となります。この場合、ステップ1を実行しなければステップ2は実行できず、さらにステップ2を実行しなければステップ3は実行できませんので、説明の順序は「ステップ1→ステップ2→ステップ3」の時系列順となります。

以上が時系列順で順序を決定する際の基本的な考え方となります。まとめますと、

・因果関係が明確である場合は、説明の順序は「原因→結果」の時系列順となる
・実行ステップの順序が明確である場合は、説明の順序は「ステップ順通り」の時系列順となる

となります。

ただし、実際の説明の際には、上記の順序とは別に「結論」も意識して考える必要があります。時系列順での説明の弱点は

「結果が説明の最後まで見えない」

ことにあります。従って、プレゼン等で時系列順に基づいて説明を行う場合には、

・始めに結論を簡潔に述べる
・その後で要点を時系列順に示す

このような工夫も必要です。

以上の点に注意をし、時系列順での論点整理及び順序決定を行ってみていただければと思います。

(担当:佐藤 啓