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ビジネスパワーアップコラム<プレゼン編> 第七回

前回のプレゼン編コラムでは「プレゼンシナリオ作成のキーポイント」をお話しました。「シナリオとはQ&Aである」すなわち、相手の持つ疑問に対する答えを示しながら、自分が伝えたいことを話す構成を、Q&Aを繰り返すことによって構築すれば良いということが要点でした。

実はこの「Q&A」を行うことには、もう一つ大切なメリットがあります。それは「お客様を味方に引き入れやすくなる」ということです。

誰しもそうですが、自分に対して好意的な印象を持つ人に対しては、自分自身も好意的に接しやすくなります(ただし、このバランスが余りにも狂ってしまうと、ストーカー等の話になってしまいますので、あくまでも「バランスが取れている」上での話と今回はします)。相手が自分に対して好意的かどうかを判断する指標はいくつかあると思いますが、中でも「自分が抱えている問題等、思っていること、考えていることを理解してくれている」と感じられた場合には、相手が自分に好意的であり、自分もそのことを好意的に捉える場合が多いと思います。

そして、好意的な印象を持つ相手の話は、より聞き入れやすくなります。要は「聞く耳を持ちやすい」ということです。相手の話を聞きたいと思って聞く場合と、そうではない場合とでは、話の理解度も印象も全く異なってきますし、自分の話を聞きたいと思って聞いてくれていると感じられれば、話をしている自分自身もよりリラックスして話が出来ます。

話をする相手への好意の示し方は他にもいろいろあると思います。例えば相手の会社の製品・サービスを実際に使っていれば、その感想を話すことや、あるいは相手の会社の経営理念やサービス等に共感が出来るのであれば、その点を伝えることも一つの好意の示し方でしょう。実際に面接等ではそのような話をすることも多いと思います。ところが、これは少し「表層的」な話になってしまうので、好意は好意でも相手側には「表面的な」好意が芽生えるくらいの効果しかないと思います。言い換えれば「建前」と受け取られてしまうかもしれない、ということです。

一方で「Q&A」の「Q」、すなわち「質問=相手の困っていること、悩んでいること」を自分自身も理解しているつもりです、という話は、もう一段深いレベルでの「好意」を相手側に芽生えさせるきっかけになります。「自分たちのことをこれだけ理解してくれているのなら、この人にだったら話をしてみようか」と思えるということですね。

相手の疑問に対する答えを示すということは、単に自分が伝えたいことを相手に分かりやすく伝えるという意味だけでなく、自分自身の相手への好意も伝えられるという「一石二鳥」の話ということなのです。Q&Aを繰り返すことでお客様が自分の「味方」になれば、人間関係を構築していく大きなきっかけを得られますから、たとえ初回のプレゼンで望ましい結果が得られなかったとしても、チャンスはまた巡ってくると思います。そしてまたQ&Aを繰り返し、最終的な成果に繋げることが出来るわけです。

是非「Q&A」のスキルに磨きをかけ、味方となってくれるお客様を増やしましょう。それには日頃からの「お客様の疑問は何か」「お客様が困っていること、解決したいことは何か」ということを考える訓練が必須です。一日二日で習得出来るものではありませんが、時間がかかるからこそ、早くから始めた方がよいのです。是非「Q&A」でお客様を味方にしましょう。

(担当:佐藤 啓