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Webサイトの印象を左右する要素は複数存在しますが、コンテンツの内容やレイアウトに目が行く前、言い換えればWebサイトの「第一印象」に大きく影響を与える要素の一つとしては「色」が挙げられます。

「色」は来訪者のWebサイトに対する第一印象を決定し、次のステップであるコンテンツ閲覧に導くための大切な要素です。逆に、第一印象で来訪者に違和感を与えてしまった場合、期待したコンテンツの閲覧をせずに別のWebサイトへと移動してしまう事が多くなります。仮にその場ではコンテンツを閲覧した場合でも、閲覧している最中に違和感を感じさせたことに変わりはなく、来訪者のWebサイトでの滞在時間を短くする一因となる可能性もあります。

UX(User Experience=ユーザー体験)を考えることの重要性を最近はよく耳にしますが、これは「画面を通しての体験が心地良いかどうかを考えること」と同義です。ユーザーの体験に最も重きを置くUXの視点から考えた場合、心地の良いWebサイト制作には「ユーザーが持つ違和感をできる限り減らすこと」が重要であり、この点からも色選択の重要性をイメージしていただけるのではないかと思います。

Webサイトの印象を左右する色を、ここでは「メインカラー(主な印象を与える色)」と呼ぶ事にします。メインカラーは、業界によって使用頻度の高い色が異なることはご存知でしたでしょうか。例えば音楽系サイトでは「黒」、ECサイトでは「白と彩度を抑えた色の組み合わせ」が比較的多いです。

黒は他の明るい色と組み合わせて簡単に高いコントラストを生み出すことが可能です。コントラストが高いWebサイトは、スタイリッシュな印象を与えやすいため、音楽系では黒がよく使われていると考えられます。また、白と彩度を抑えた色との組み合わせは、商品数が多いECサイトの場合、主役である商品がどのような色であっても活かしやすい点がメリットであり、キャンペーンの際よく使用される彩度の高い色との相性も良い点も、大きなメリットとなります。

業界によって使用頻度の高い色が存在するということは、来訪者がその色自体、あるいは色から派生する印象を好んでいる可能性がありますので、その色の使用を検討することは、よい第一印象を与えるデザインを考える上での一つの入り口になり得ると私は考えています。また、色の選択によって、来訪したユーザーが「自分のためのWebサイト」であるという印象を強めることも可能です。このような点からも、「色」はWebサイト制作において、とても大切な要素であることをつかんでいただけるのではないかと思います。

Webサイトの「色」を決定する際に押さえておきたいポイントとしては、来訪者に対して与えたい印象を先に決定しておくことが挙げられます。例えば、にぎやかで楽しく活発な印象を与えたいアミューズメント系のWebサイトで、黒がメインカラーの場合はどのような印象をユーザーに与えると考えられますでしょうか。お化け屋敷のWebページでもない限り、訪れたユーザーは恐らく予想と異なる第一印象を受けるため、別のWebサイトへと移動してしまう可能性が高いと思います。

従って、まずはお客様が期待していると思われる印象をあらかじめ整理し、その印象を実現可能な色の候補を検討するという順序が良いと思います。ちなみに、お客様が期待していると思われる印象については、業界によって千差万別です。例えば弊社の場合は、メインカラーの青を「信頼感」「清潔さ」「親しみやすさ」などを考慮した結果として選択しています。

一方で、相反する印象を色だけで与えることは難しいという点も押さえておく必要があります。例えば「親しみやすく威厳のある印象」を色の選択だけで実現することは一般的には難しいため、コンテンツやレイアウトとのバランスを考慮しながら、別の実現方法を考える必要が生じます。Web担当者の場合、ちぐはぐな印象を制作会社へ提出ことは、期待通りの制作物が出来上がらない一因となる可能性がありますので、事前に検証を行う必要があります。少しの手間を惜しむことが、後々の出来映えを大きく左右する可能性がありますので、この点はぜひ留意していただければと思います。

今回は「色」が来訪者の第一印象を決定し、次のステップであるコンテンツ閲覧にスムーズに導くための大切な要素であるというお話をいたしました。より良いWebサイト制作のヒントとして、参考としていただければ幸いです。

(担当:斉藤 万幾子