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前回のWeb系コラムでは、Webサイト制作における「現状分析」を行うための3つの方法についてご紹介しました。現状分析を適切に行うことで、解決すべき課題が明らかになり、具体的にこうしたい、ああしたいという希望が出てくると思います。
そこで、今回はそれらを踏まえて「企画」の段階で考えるべきポイントについて見ていきたいと思います。

「企画」段階の目的は、Webサイトに盛り込むコンテンツを決定することです。そのための準備として、最初に自社と来訪者のWebサイトに対する目的を列挙して、次にその両方が達成されるようなコンテンツを絞り込みながら考えていきます。

自社のWebサイトに対する目的の作成方法は、まずシンプルな目的を設定します。例えば「商品を売りたい」「店舗に来てもらいたい」などです。
次にこれを数値化します。「店舗への来訪者件数を月に100件達成したい」のように、具体的な数値を目的の中に設定することでWebサイト制作に関わる多くの人が共通の具体的な目標に向けて動きやすくなり、またWebサイトの運営段階に入った場合のフィードバックを受けやすいというメリットがあります。

来訪者によるWebサイトの目的を作成する場合、前段階で作成したターゲットとすべき来訪者の情報(詳細は前回のWeb系コラムをご参照ください)が重要になります。これらを元に来訪者が自社に何を求めているのか、という視点で考えられるものをすべて列挙していきます。

ここでWeb制作においても有用な、一般的によく使われるアイデアを出すための手法について簡単に触れておきます。
・ブレーンストーミング
 集団で制限のない自由なアイデアを発想する手法です。
・KJ法
 ブレーンストーミングなどで発想されたアイデアを整理する方法として有効な手段です。
・チェックリスト法
 既存のアイデアに対する発想の転換を狙う手法により、さらに斬新なアイデアを生み出したい場合に有効です。

自社と来訪者の目的のアイデアが揃ったら、最後にWebサイトのコンテンツとして採用するアイデアの取捨選択を行います。前段階で作成したコンセプトや予算の制約(詳細は前回のWeb系コラムをご参照ください)を考慮して、お互いの目的が達成されそうなアイデアを選択します。この作業の中で、選択されたアイデアをコンテンツとして管理し、カテゴリに分けて整理しておくと、次の作業がスムーズになります。この時、可能な限り多くのコンテンツ、カテゴリを掲載すればいいというわけではないことに注意が必要です。コンテンツやカテゴリの数が多くなるほど、情報が探しにくくなるというリスクがある点は覚えておきましょう。

そこで注目しておきたい概念がIA(インフォメーション・アーキテクチャ)です。インフォメーション・アーキテクチャとは、90年代後半に提唱された「複雑な情報をわかりやすく提示しよう」という考え方です。現在インフォメーション・アーキテクチャを考慮した「来訪者が迷わないためのWebの情報設計」をしていきましょうという流れがあり、ページ数やカテゴリ数が多いWebサイトにおいては特に重要な考え方となります。

インフォメーション・アーキテクチャのポイントは以下です。
①カテゴリの名前は誰でもわかるような名前を付ける。
②表記を統一する。(最初のページは「トップページ」や「ホーム」など複数の呼び名がある場合、1つに統一する)
③重要な情報はページ上部へ置く。逆に重要でない情報は上部から除く。
④類似の情報はグループにしてまとめる。
⑤ナビゲーションやリンクは、すぐわかるようなデザインにする。
⑥サイトマップや検索ボタンを設置して、目的の明確なユーザーやWebサイト内で迷ったユーザーにすぐ対応できるようにする。

欲しい情報を得るのに3クリックで辿り着けるのが、ストレスのないWebサイトの情報設計とされています。使いやすいカテゴリ分けを考える際には上のポイントを、ぜひ参考にしてみてください。

今回は「企画」の段階で考えるべきポイントについてご紹介しました。次回は「制作」の段階についてお話ししたいと思います。
皆様のお役に立てば幸いです。

(担当:斉藤 万幾子