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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第二回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデアを新たに生み出すための基本的なポイントをお話しました。要点としては、

アイデアは無からは生まれない
=アイデアとは「既存の要素の新しい組み合わせ」である

であり、アイデア自体は

・前提となる目標・課題・問題意識等があり、
・その前提に関する様々な情報が存在し、
・それらの情報の新たな組み合わせを考えることで構築される

ものであることを押さえておく必要がありました。

今回のコラムでは、アイデアを発想する上での最初の入り口である「問題」に関し、問題自体の「発見方法」について説明をしていきたいと思います。

問題の発見方法に入る前に、今一度「問題」というキーワードの意味を考えてみましょう。
「問題」の定義は、広辞苑によると

1. 問いかけて答えさせる題。解答を要する問い。
2. 研究・論議して解決すべき事柄。
3. 争論の材料となる事件。面倒な事件。
4. 人々の注目を集めている(集めてしかるべき)こと。

この4つが挙げられています。このうち、アイデアを発想する上でのベースとなる「問題」の定義としては、「2. 研究・論議して解決すべき事柄」が近いものとなります。一般的に、研究や論議を進める上では、目標とすべき「理想」があり、一方でその「理想」とは(多くの場合で)異なった段階にある「現実」があります。この「理想」と「現実」のギャップこそが「問題」であり、アイデアを発想する上でも、この「理想」と「現実」を明確化することが第一歩となります。

そして、アイデアを発想する上での「理想」と「現実」を考える際には、「理想」を高い次元で想定することが求められます。言い換えれば、理想と現実のギャップが小さければ、生じるアイデアも小粒のものとなってしまうということです。例えば、売上が100万円よりも1億円、1億円よりも100億円、100億円よりも1兆円と考えれば、現実との差はどんどん大きくなり、発想すべきポイントが全く変わってきます。100万円の達成と1兆円の達成では、やるべきことのレベルが全く違います。レベルが異なれば、自ずと「自らの発想のレベル」も引き上げなければなりません。自分自身の枠の中で「出来ること」からアイデアを求めようと思うと、自分の経験等から演繹的に生み出されるレベルの発想しか出来ないことが多いですから、このように「理想」を高く掲げることで、あえて「枠の外」の思考を強制するような環境を生み出すことが大切です。

「高い理想」を想定できるようになるための一番の近道は「視野を広げる」ことです。この視野の広げ方についても多くの考え方があると思いますが、一番簡単なイメージとしては「個人」よりも「社会」全体にアプローチを行うようにすることです。言い換えれば「自分よりも他人」そして、「一人や二人よりも、もっと多くの人が喜んでくれるような何か」が出来ないかと発想することで、高い理想を思い浮かべることが可能となります。同様に、エリアを広げることも理想を高める上では有効です。個人よりも家族、家族よりも地域、地域よりも地方、地方よりも国、国よりも地球全体、そして地球だけでなく宇宙。ここまでエリアを広げると、考えるべきことは無限にあると言ってもよいでしょう。

一方で、問題の「種」を発見するタイミングは、ごくごく身近な出来事がきっかけとなることが多いです。日々の生活や仕事での失敗、困ったこと、出来たらいいなと思うこと。このような、細かなイベントの一つ一つに問題の「種」が紛れ込んでいるものなのです。日々の生活のあらゆるシーンで「もっとこうだったら良いのに」「自分だったらこうするのに」という意識を持って、アンテナを張り巡らせること。そして、問題の種を発見したら、理想を想定すること。これが「問題発見」の基本的な考え方となります。

まとめますと、アイデアを発想する上では、その入口である「問題」の見つけ方が最初の大切なポイントであり、

・「理想」と「現実」のギャップが問題の根本であること
・「理想」を高く掲げることで、発想可能なアイデアも広がること
・問題の「種」は、日々の生活のあらゆるシーンに存在すること

これらの点を「問題」を考える上でのキーポイントとして押さえておく必要があります。

私自身は「日々此問題」と思って毎日を送っています。問題のない一日はありませんが(あったらいいなと思いますが・・・それはそれでまた別の問題が生じそうです)、問題をいろいろと思い浮かべ、そこからアイデアが湧き出る瞬間の楽しさは、何物にも代えがたいと思います。日々の生活を「問題あり」と思えるかどうか。問題なしの生活よりも、ずっとワクワクするのではないかと、私は思います(もっとも、これには賛否両論あるとは思いますが)。是非「問題は身近にある」「問題を見つけたら、理想を考える」このステップを、心がけていただければと思います。

(担当:佐藤 啓