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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第十回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想における「かけ算」の考え方についてお話ししました。アイデアを発想する上では「効果的にアイデアを膨らませるためのキー情報」が存在し、それらのキー情報と、アイデアの基本となる情報を「掛け合わせる」ことで、様々なアイデアを発想しやすくなる点がポイントでした。具体的なキー情報としては、

・テクノロジー
・ネットワーク
・時系列

以上の3点が存在し、アイデアを発想する際には「技術」「繋がり」「時系列」にヒントを得ることが出来ないかを常に考えることが重要でした。

今回のコラムからは、アイデアを思いつく瞬間までの情報整理におけるプロセスで常に意識する必要がある「連続性」をテーマにお話をしていきたいと思います。

連続性とは簡単にいえば

「理想」と「現実」それぞれへの軸足の置き方

であり、言い換えれば

・理想=非連続=「出来たらいいな」を考えること
・現実=連続=「世の中のトレンド」を考えること

となります。

アイデアを発想する上で、「行き詰まり」を感じてしまうことはよくあります。何も発想が出ない、情報を色々拾っていっても思い浮かばないというときに、この「連続性」に手がかりを求めることで新たな発想が浮かぶことが多いのです。すなわち、

「連続性」とは、アイデア発想の上で常に立ち帰るべき「もう一つの原点」

とも捉えることが出来ます。問題とその原因をアイデア発想の根本的な動機とするならば、連続性はアイデアをひらめくまでの道筋において、迷った際に常に戻るべきポイント、というイメージとなります。

今回は連続性を考える際の基本である「理想」と「現実」のうち、「理想」についてのお話をします。

皆さんは、「ドラえもんの歌」は頭に浮かびますでしょうか? 「こんなこといいな できたらいいな あんな夢こんな夢 いっぱいあるけど」という歌い出しが私はとても好きなのですが、これは「理想」を考える上での一番分かりやすいアプローチ例です。理想視点で考える際には、現実・現状等を一切無視し、純粋に心の底から「出来たらいいな」を考えることが最も基本的な方法となります。

「出来たらいいな」を考える上では、マンガやSFの世界も非常に参考になります。例えばドラえもん以外にも、私が幼少時に好きだった鉄腕アトムや宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムなどの世界から、私自身はインスピレーションを受けることも多くあります。私自身は現在は教育に主軸を置いた仕事をしていますが、将来的には宇宙に関係する仕事を手がけたいと思っています。そのように考えるようになったきっかけの一つとして、ヤマトやガンダムの世界からの影響は確実に存在すると思います。

あるいは、ドラえもんの話で言えば、数あるひみつ道具のうち、「糸なし糸電話(=携帯電話)」や「トレーサーバッチ(=GPS)」は既に実現していますし、「立体コピー機」は最近流行の3Dプリンタとしてトレンドを賑わせています。あるいは「透明マント」さえも、完全に透明とは言えませんが、ある程度透明に見えるものは実現しています(これらに興味のある方は「すでに実現していた!ドラえもん秘密道具」なども見てみていただければと思います)。

言い換えれば、「理想を考える」ということは「制約を外す」ということでもあります。第三回のアイデア発想法編コラムでは「制約」の重要性を述べましたが、制約の下に考えを進めていくと、制約に縛られた結果、良いアイデアが思い浮かばないということもあります。このような場合は上記のように「理想を考える」=「制約を外す」ことで、いろいろと浮かんでくることもあるのですね。

私自身は「科学は理想を実現するためにある」と考えています。そして、人間の想像力=「理想を想い描く力」は、それこそ想像以上に素晴らしいとも。マンガやSFの世界で実現している未来の姿は、確実にアイデアのヒントを与えてくれます。空想ばかりをしていても物事は先には進みませんが、現実ばかりを気にしていると逆に新しいことにチャレンジできなくなってしまうかもしれません。皆さんも是非、アイデアに行き詰まったときは、昔好きだった、あるいは今でも好きなマンガやSFの世界に改めて触れてみてはいかがでしょうか。このような「理想視点」でアイデアのヒントを探してみると、また新たな「気づき」があるのではないかと思います。参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓