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2012年10月、Microsoft社からWindows 8が発売されました。
新しいWindowsに興味を持つ人、買うか待つか迷う人も多いと思われますので、今回はWindows 8についてのお話をしたいと思います。

ただし、Windows 8を理解するためには、まずは歴代Windowsを学ぶ必要がありますので、今回のテーマは2回に分けてお話しします。
今回は「Windows 8」以前の歴史について、説明をしましょう。

MS-DOS
Microsoft社初のOSです。
IBM社の「PC-DOS」と呼ばれるOSの開発を請け負っていたMicrosoft社が、後に独自ブランドで発売したのがMS-DOS(1981年)です。
MS-DOS単体としてはバージョン6.22(1994年)まであり、全世界で1億本も販売されたヒット製品です。
日本では日本語対応したバージョン5「DOS/V」が普及し、Apple社のMacintosh、NEC社のPC98と三大PCの一角を担っていました。

Windows 3.x系
当初、Windowsはテキストベースのユーザーインターフェースを持つMS-DOSをグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)で操作するためのシェル(OSとやりとりをするためのソフト)に過ぎず、ただのアプリでしたが、Windows 3.0(1990年)からOSとして進化し、Windows 3.1(1993年)と続きます。
ベースとなっているのはMS-DOSですが、GUIの操作感、各機能の強化により、3.0と3.1を合わせて、これまた全世界で1億本も売れたヒット製品です。

Apple社のMacintosh、NEC社のPC98がハードもOSも一体化しているのに対し、MS-DOS/Windowsはハード(PC/AT互換機)とOSを分けた事に特徴があります。
ハードには他社を参入させる事により、多くのメーカーがMS-DOS/Windows用のPCを生産する事ができるようになりました。
それによりPCの高性能化、低価格化の競争に拍車がかかり、アプリケーションでも次々に他社が参入し、このようなヒットに繋がりました。

Windows 9x系
Windows 95(1995年)はWindowsをMicrosoftの存在を世界中に知らしめることとなった、Microsoft社の代表作です。
直感的なGUI、インターネットに対応したネットワーク機能、音楽や動画、ゲームのマルチメディア機能、プラグアンドプレイ(ハードウェアの設定の簡略化)等、さまざまな要素が追加、強化されたOSで、PCを「一般化」した立役者ともなりました。
その後、Windows 98(1998年)→Windows 98SE(1999年)→Windows ME(2001年)と後継が続きます。

MS-DOSや3.x系は16ビットで、9x系は32ビットとありますが、9x系のベースもMS-DOSで作られていましたので、16ビットに32ビットを加えた「合いの子」とも言えます。
これはMS-DOSや3.x系のソフトウェアと互換性を保つためでしたが、この合いの子構造がOSを不安定にする要因にもなりました。
9x系を使っていたほぼ全ての人が、フリーズやブルースクリーンを一度や二度は見たことがあると思います。

2000年にもなれば、いわゆる「過去の遺物」との互換性も無用になり、9x系はWindows MEを持って終了しました。

Windows NT系
Windows NT系とWindows 9x系は同じWindowsの名を持っていますが、両者はまったくの別物です。
9x系のベースはMS-DOSですが、NT系は独自のカーネル(OSの中核のようなもの)を使用しています。

初期のシリーズはWindows NT3.1(1994年)→Windows NT3.5(1994年)→Windows NT4.0(1996年)と続きました。
ちなみに3.1以前はWindows 3.x系と併合していたため存在していません。

この頃は9x系が家庭用、NT系が業務用に位置付けされていました。
NT系は9x系と比較するとマルチメディア機能が弱かったり、プラグアンドプレイが無かったりと敷居が高かった反面、完全な32ビット機で安定性があり、Windows Serverと連携する事ができました。

その後、NT系に9x系の使い易さを加えた、後に最高峰と評価されるWindows 2000/NT5.0(2000年)→Windows XP/NT5.1(2002年)が登場します。

Windows MEで9x系が終了し、その後はWindows XPに受け継がれ、XPから家庭用のエディションと業務用のエディションの2種類のOSが提供されることになりました。

ここまでを振り返ると、1990年あたりからほぼ毎年のようにOSを出し続けていたMicrosoftですが、XPでひとつの終着点を迎える事になり、XPの長期政権が始まります。

近代Windowsへ
Microsoftは5年と6億ドルをかけてWindows Vista/NT6.0(2007年)を出します。
NTのバージョンアップ、3Dを使用したGUI「Aero」、ユーザーアカウント制御 、セキュリティ強化、IPv6のサポート等、新要素が盛り込まれましたが、XPの長期政権を揺るがすには至りませんでした。
XPの完成度が高いため、Vistaの新機能や改善は「改悪」扱いされる事もありました。

その後、Windows 7/NT6.1(2009年)が登場します。
結果的にWindows 7はXPのシェアを超える事となりました。

Windows 7はVistaをベースに改良したものです。7とありますが、これは7番目のWindowsという意味であり、NTのバージョンは6.1となっています。
追加機能や改善点は多々ありますが、これといった目玉要素は見当たりません。

それにもかかわらずシェアを得られたのはWindows 7の機能面が受け入れられたのではおそらくなく、単に「使っていたPCが古くなったので買い換えたら7だった」という理由が多いのではないかと個人的には思います。
一方で、その買い替えの背景には「64ビット化」があり、多くのユーザーに受け入れられたのは「Windows 7 64ビット版」の方でした。

ハードの性能は上がる一方なのに、その高性能をOSが使いこなせないのでは勿体無いですよね。
心配されていたソフトウェアとの互換性も大きな問題は無く、時期を見て買い換えた人も多いのではないかと思われます。
XPと同じ事ができるならVistaではなく、より処理の速い Windows 7 64ビット版に替えた方が良いと思われた方も多かったのではないでしょうか。

ちなみに、WindowsではXP、Vistaですでに64ビット版を出していましたが、32ビット版と64ビット版の販売は別々であったのに対し、7では32ビット版と64ビット版をセットで販売することで、購入し易くしていました。

2012年9月、Windows 7はWindows XPのシェアを上回ります。
そして、2012年10月。Windows 8が登場する事になります。

次回はいよいよ「Windows 8」そのものに触れたいと思います。

(担当:奥田 英太郎