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ビジネスパワーアップコラム<ロジカルシンキング編> 第八回

前回のロジカルシンキング編コラムでは、論点を展開する際の基本的な流れである「話の広げ方」についてのお話をしました。話を上手に広げる際は、

・掘り下げ=「縦方向思考の原則」
・広がり =「横方向思考の原則」
・優先順位=「順序の原則」

これら3つの原則、まとめて「ピラミッド思考の原則」を考慮することで、論理的に理解しやすい話の構成が可能になるということがポイントでした。

今回のコラムでは前回の話に関連し、論点を掘り下げる際の思考方法である「縦方向思考の原則」についてもう少し詳しく説明したいと思います。

縦方向思考の原則とは、話の階層における「上下方向の論理的な繋がり」を考える思考方法を意味します。前回のロジカルシンキング編コラムではこれについて、上の階層(=テーマ等)から「掘り下げて」、下の階層(=詳細内容)へと話を続けることを中心にお話ししましたが、本来、縦方向思考の原則を考える際には「上下方向」のどちらについても考慮する必要があります。すなわち「上の階層→下の階層」だけでなく、「下の階層→上の階層」についても、論理的な繋がりを考慮する必要があるということになります。

縦方向思考に従って実際に考えを進めていく際には、

・なぜ(Why)?
・(だから)なに(So What)?

この2つのキーワードを活用することがポイントとなります。

「なぜ?」と考えることは、階層構造における「上→下の方向」に従って考えを掘り下げる際に役立ちます。例えば、スマートフォンが現在、非常に速いスピードで普及してきていますが、「スマートフォンは売れる」という点をテーマに「なぜ?」と考えてみましょう。そうすると、「アプリが便利だから」「画面が大きくて見やすいから」「実際に使用している人が増えているから」などの「理由=一つ下の階層」をイメージすることが出来ます。

また、「なぜ?」の派生として「どのように?」と考えることも掘り下げの際には有効です。前回のコラムで採り上げた例の一つに「店舗に対する新商品の提案」がありました。この際は「どのように?」と考えることで、例えば「売上メリット」「コストメリット」「納期メリット」をアピールすることで提案に繋げるという「階層の掘り下げ」が可能となります。このように「なぜ?」「どのように?」と考えることで、階層を上から下に「掘り下げる」ことが可能となります。このことを「トップダウン型アプローチ」と呼びます。

逆に「(だから)なに?」と考えることは、階層構造における「下→上の方向」に従って考えを「まとめ上げる」際に役立ちます。先程のスマートフォンの例であれば、「アプリが便利だから」「画面が大きくて見やすいから」「実際に使用している人が増えているから」という話が先にあったと仮定し、そこから「(だから)なに?」と考えることで、どのような意味が導出されるかを考えることになります。この際は「だからスマートフォンは売れる」というように、話を「まとめ上げる」ことが可能となると思います。

もう一つの例でも同様に「売上メリット」「コストメリット」「納期メリット」に触れることについて「(だから)なに?」と考えることで、「新商品の提案が可能になる」と「まとめ上げる」ことに繋がるイメージをつかんでいただけると思います。このように「(だから)なに?」と考えることで、階層を下から上に「まとめ上げる」ことが可能となります。このことを「ボトムアップ型アプローチ」と呼びます。

まとめますと、「なぜ?」と「(だから)なに?」という2つのキーワードをいつも意識し、トップダウン型アプローチとボトムアップ型アプローチのそれぞれを併用することで、縦方向思考を効率的に進めることが可能となります。言い換えれば、


縦方向思考とは「掘り下げ」と「まとめ上げ」の思考方法である

と定義することが可能です。

「なぜ?」と考えて掘り下げを行い、「(だから)なに?」と考えてまとめ上げることは、論理的な思考を行う上での最も基本的な方法の一つです。是非「なぜ?」「なに?」といつも自問自答し、考えを深める練習をしていただければと思います。

(担当:佐藤 啓