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ビジネスパワーアップコラム<ロジカルシンキング編> 第十回

前回のロジカルシンキング編コラムでは、論点の広がりを考える際の思考方法である「横方向思考の原則」についてのお話をしました。横方向思考の原則においては、

・常にMECE=「漏れ・ダブりなし」を意識する
・MECEに考える際は「それ以外」というキーワードや、MECEフレームワークを活用する

以上の2点が重要なポイントとなることを押さえておく必要がありました。

今回のコラムでは、これまで採り上げてきた「縦方向思考」「横方向思考」に基づいて論点の掘り下げや広がりを考える際に、併せて考えておく必要がある「論点の関連づけ」に関しての基本的なお話をしたいと思います。

ロジカルシンキング=論理思考の「論理」というキーワードの意味をもう一度考えてみましょう。論理とは「話の繋がり」言い換えれば「関連づけ」を意味する言葉であり、「論理的」であるということは、「複数の論点同士の『繋がり=関連づけ』の理由が明確であり、理解しやすい」ということを意味します。従って、論理的に話を広げる上では、この「繋がり=関連づけ」を的確に設定することが重要であることが分かると思います。縦方向思考では上下の階層に存在する論点同士の関連づけが的確かを確認する必要がありますし、横方向思考では同じ階層に存在する複数の論点の関連づけの意味するところを考える必要があるわけですね。

論点の関連づけを考える際には、以下の2つの論証法を用いることが一般的となります。

・演繹(えんえき)法
・帰納(きのう)法

演繹法については「三段論法」という言葉の方がなじみがあるかもしれません。演繹法とは「大前提→小前提→結論」のように、互いに意味の上で関連し合う二つ(またはそれ以上)の前提があり、それらが同時に成立することが何を意味するかを考える論証法です。

演繹法で考えた場合、例えば、

・人間はいつか死ぬ(大前提)
・ソクラテスは人間である(小前提)
・ソクラテスはいつか死ぬ(結論)

というイメージの流れが構成されます。この場合、「人間」という名詞が大前提と小前提の間に共通に存在し、それが大前提と小前提の関連づけを形成しています。そして、それら二つの関連し合う前提がどちらも成立することから、「(人間である)ソクラテスはいつか死ぬ」という結論を導出することが可能となります。

一方で帰納法とは、複数の論点に存在する「共通キーワード」を考え、その共通キーワードが何を意味するかを考える論証法です。言い換えれば「共通キーワードによるまとめ上げ」というイメージになります。

帰納法で考えた場合、例えば、

・休日のデパートは混んでいる
・休日の映画館は混んでいる
・休日の遊園地は混んでいる

これらの状況に共通する「キーワード」を考えることになります。例えば「デパート・遊園地・映画館」の共通キーワードとしては「外出」が一つの候補になります。そうすると、これらの状況は「休日の外出は混んでいる。例えば、デパート・遊園地・映画館」というように、「外出」というキーワードの下側に、「デパート・遊園地・映画館」というキーワードが連なる「階層構造」を持つ構造に関連づけが変化したことが分かると思います。

このように、演繹法・帰納法のどちらを用いても、論点間の「関連づけ」を確認可能であることがイメージできると思います。演繹法の場合であれば、大前提と小前提の間の「意味合いに基づく関連」を、帰納法の場合であれば、複数の項目間の共通キーワードによる「類似性に基づく関連」を考えることになります。

まとめますと、

・演繹法=論点同士の「意味合い」に基づく関連づけを考えること
・帰納法=論点同士の「類似性」に基づく関連づけを考えること

このようになります。

演繹法・帰納法の詳細及びそれぞれを考える上での注意点は、来週・再来週のコラムで2回に渡ってご紹介したいと思いますが、演繹法及び帰納法は論点を整理し、その関連づけを考える際には必須の思考方法となります。今回のお話に関しては、まずは演繹法・帰納法という言葉自体と、上記の例で採り上げた、それぞれを考える際の基本的なイメージや事例を理解していただけたらと思います。

(担当:佐藤 啓