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ビジネスパワーアップコラム<ロジカルシンキング編> 第十五回

前回のロジカルシンキング編コラムでは、順序の原則を構成する3つのルールのうち、「時系列順」についての説明をしました。時系列順で順序を決定する際の基本的な考え方は、

・因果関係が明確である場合は、説明の順序は「原因→結果」の時系列順となる
・実行ステップの順序が明確である場合は、説明の順序は「ステップ順通り」の時系列順となる

ということでした。
ただし、時系列順での説明には「結果が説明の最後まで見えない」という弱点が存在しますので、プレゼン等で時系列順に基づいて説明を行う場合には、

・始めに結論を簡潔に述べる
・その後で要点を時系列順に示す

このような工夫も必要ということがポイントでした。

今回のコラムでは、順序の原則を構成する3つのルールの2番目である「構造順」についての説明をしたいと思います。

構造順とは、簡単に言えば「エクセルでの並べ替え」と同じようなイメージで並べ替えることを意味します。
すなわち「目に見える様子を順序に反映させる」ことが、構造順を考える際の基本的なイメージとなります。

簡単な例を挙げますと、

・東西南北
・上下左右
・大中小
・高い安い
・重い軽い

このような「位置」や「数量」の比較が可能な場合は、全て構造順となります。

構造順を考える際のキーポイントは、以下の3点となります。

・構成する各要素がMECEであること
・事象が現れる順序、もしくは数値化できる場合は昇順もしくは降順で並べること
・プロセス(=フローチャート)が存在する場合は、その順序を適用すること

(なお、MECEについての詳細は第九回のコラムをご参照下さい)

まず、各要素がMECEであることは、構造順で順序を考える際の基本要件となります。構造順とは「目に見える様子を順序に反映させること」と説明しましたが、この「目に見える様子」がきちんと「漏れ・ダブりなし」の状態でなければ、比較を行うことが出来ません。そのため、各要素がMECEであることが構造順を検討する際の基本となります。

そして、各要素がMECEである場合には、「比較」を行うか「プロセス」に従うかのいずれかで順序を決定します。比較の場合は例えば「北→南」「左→右」のように「事象が現れる順序」、もしくは「大→小」「高い→安い」「重い→軽い」のように「数値化できる場合は昇順もしくは降順」で順序を決定します。

ここで押さえておきたいのは「プロセス(=フローチャート)順」の考え方です。例えば、MECEフレームワークの一つに「ビジネスシステム(バリューチェーン)」と呼ばれるものがあります。これは

研究開発 → 調達 → 製造 → マーケティング → 流通 → 販売 → アフターサービス

というプロセス順のことを指し、具体的には「製品が企画されて、製造されて、販売されて、お客様に使用される」という流れに対応する組織構造のフローチャートを意味します。

もし、このような「企画・製造・販売」という話を全体的に論じたいのであれば、ビジネスシステム(バリューチェーン)の流れに従い、研究開発からアフターサービスまでの順で話を論じる必要があります。マーケティングから始まって、調達、研究開発、販売、流通・・・などという流れにはならない、ということですね。
(もちろんですが、個別の要素についての重要度で判断をしたい場合にはこの限りではありません)

以上が構造順で順序を考える際のポイントとなります。構造順は決して難しい話ではなく、「エクセルの並べ替え」と同様に普段から意識せずに使用している考え方でもあります。ただし、「北→南」「左→右」「大→小」「高い→安い」「重い→軽い」等については、場合によっては「思い浮かんだ順に」表記してしまう可能性もあります。そのため、「比較可能な場合」や「プロセスが明確に存在する場合」の順序については、「構造順」をぜひ意識して記載をしていただければと思います。

(担当:佐藤 啓