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先日、「東京国際ブックフェア」に行ってきました。
電子書籍の紹介もありますがもちろん「本」が中心の様々なブースに、大勢の人が訪れていました。
また、作家・筒井康隆氏の講演を拝聴しました。創作歴60年ながらまだまだ第一線でご活躍の方のお話を伺うことのできる貴重な機会でした。
『「読書」の極意と掟』と題された講演および後半の朗読はとても興味深い内容でしたが、その中でとても心に残った言葉があります。
「今の若い人達は不幸である。書店にもAmazonにも、とにかく本が溢れていてどれを読めばいいかわからない。
自分の幼少時には、本は戦争で焼け読む物が少なかった。他に娯楽もなく、その少ない本をむさぼるように読んだ。」
本を読める幸せについて、あらためて実感しました。

前回まで三回にわたり、気軽に本を読むためのコツをご紹介してきました。
今回は、読んだ本をさらに楽しむためのヒントをいくつかご紹介します。
簡単に言うと、他の人にも「シェア」する方法です。

◆知人に話す、薦める
一番ポピュラーで、しかも簡単な方法です。
「最近読んだ○○、おもしろかったよ。」と雑談で話すこともあるでしょう。
または、その分野に興味のありそうな方に薦めることもあります。
読み終わった本なら貸してあげると、読みたい方にとってもうれしいです。

そしてその方が読んだ後は、共通の話題が生まれます。
話も盛り上がりますし、また自分とは違う視点での感想を知ることもでき、さらにその内容に対しての理解や興味が深まります。

◆ブログやSNSに書く
最近はこういった方法で情報発信をする方も多いのではないでしょうか。
同じ本を読んだ方や興味のある方からの返信もあり、新しい人とのつながりも生まれます。

◆読書会
一般的な読書会の形式は、指定された本または指定のテーマやジャンルに属する本を事前に読んでおき、集まった際にその感想や内容に関するディスカッションを行います。
固定されたメンバーのサークル活動として定期的に行っていることが多いですが、図書館やお店のイベントとして行われる場合など参加者をそのつど募集するものもあります。
自分が紹介したい本やテーマを持っていれば、周囲に声をかけて企画してみるのもいいかもしれません。

◆ビブリオバトル
大学などを中心にここ数年広まってきている読書会の一形式です。「書評合戦」とも言われます。
発表者数名と参加者(観客)で構成され、発表者は一人づつ決められた時間内に自分のお勧め本を紹介し、その後参加者と質疑応答を行います。
全ての発表が終了した後、参加者による「どの本が一番読みたくなったか」の投票を行い、一番多く票を集めた本が「チャンプ本」に決定されます。
学校などのクローズドな環境で行われる他に、書店や図書館等でイベントとして発表者と参加者を募集する場合もあります。
市民サークルも増えてきているようです。
ビブリオバトルには、自分の好きな本一冊だけ読めば発表者として参加でき、また参加者は通常の読書会と異なり事前に読んでおく必要がないのでより気軽に参加できます。

以上、読んだ本をシェアする方法をいくつかご紹介しましたが、いずれも単に本の内容だけに限らず人とのコミュニケーションにつながっていきます。
よく「読書は人生を豊かにする」と言いますが、人との新たな交流により楽しい時間を過ごすことができれば、まさにその通りです。
弊社書評が、皆様が楽しいひと時をお持ちになるための一助になれば幸いです。

(担当:瀧川 仁子