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新年明けましておめでとうございます。フロンティアリンクの佐藤 啓です。昨年も皆様には大変お世話になり、感謝申し上げます。本年も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

皆様にとって昨年の一年はどのような年になりましたでしょうか。世の中の流れを思い出してみますと、4月からの消費税増税は企業・個人それぞれに様々な影響があったと思いますし、9月の御嶽山の噴火は改めて自然の怖さを思い出させる出来事でした。楽天からヤンキースに移籍した田中投手の大活躍と、その後のけが、そして復活には関心をお持ちの方も多かったのではないかと思いますし、STAP細胞の一連の問題では、改めて研究開発活動の在り方と「倫理観」そして「予算獲得や競争等の政治的な要素」との高度なバランスが重要であることを認識させてくれたと思っています。

色々な出来事がありました2014年ですが、私自身が一番関心を持ったのは、10月の「ノーベル物理学賞に青色LEDを開発した赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏が選ばれたこと」でした。赤色・緑色のLEDは既に実用化されてはいましたが、青色は技術的な課題も多く、実現可能性がまだ未知数であった1973年に赤崎氏が研究を始め、その後1982年から赤崎氏と天野氏が共同で様々な条件での実験を重ねて1989年に世界初の窒化ガリウム(GaN)系青色LEDを実現しました。その後1990年代に入って中村氏が実用的な商用生産技術を考案し、赤・緑・青の「光の3原色」がLEDですべて商用生産可能となりました。現在では日常的によく目にする「LED電球」や「LED照明」など、この青色LEDの恩恵を受けた商品は数多く存在し、低エネルギー社会や環境保護の実現という視点からも、世の中への貢献度は非常に高いものと考えられます。

この青色LEDの研究開発ストーリーの中には様々なドラマがあったのですが、その中でも私自身が一番共感したのは、世界初の青色LEDを実現した赤崎氏の研究に関する「目標設定」と「粘り強さ」でした。1973年といえば、ちょうど私が生まれた年で、開発に成功したのは1989年、私が高校1年生の時でした。まさにその16年もの間、「青色のLEDが実現できれば世の中が変わる」「やるならば、一番難易度が高い窒化ガリウム系半導体で青色LEDを実現させる」という想いで「目標」を設定し、青色LEDの実現に必須の要素である高品質の窒化ガリウム系半導体結晶を生成するために、日夜数多くの実験を行い、失敗を積み重ね、それでも諦めない「粘り強さ」が核となるブレークスルー技術の発見に繋がり、最終的には青色LEDの実現に至ったのです。

赤崎氏の言葉で、非常に印象に残るものがあります。「”前人未踏” の『GaN系ナイトライドのp-n接合による青色発光デバイスの実現』への挑戦を “ライフワーク” とすることを決意した」(赤崎、「夢の青色発光デバイスの実現を語る」、応用物理第73巻第8号、2004年)。青色LEDの実現を、単なる目標ではなく「ライフワーク」とすることを決意したということは「人生のすべての時間を賭しても構わない」という強い意志を言葉で表したものと考えられます。その結果、どんなに実験がうまくいかなくても、失敗を積み重ねても、「まだ何かあるはずだ」という想いが消されることはなく、その想いが幸運の女神を引き寄せたのだと、赤崎氏の様々な話に触れて、私自身は思いました。

目標設定という話では、もう一つ私の中で最近記憶に残ったものがあります。実は昨年末から、20年来蓄積されたウン10kgの脂肪を落とすため、ハードなトレーニングで知られる「ライザップ」に通い始めました。私自身の「ライフワーク」は「地球の文明を宇宙に広げるための技術的な基盤と人材を育てる」ことであり、具体的な目標は「2050年までに火星に5万人規模の経済活動が可能なコロニーを作る」ことなのですが、私自身、当然ですが火星に行きたいという希望もあります。そのためにはまずは2050年、私自身が77歳になるまで、健康な体でいる必要があります。そのためには様々な健康リスクの元となる脂肪を落とさねばということで、ライザップの門を叩いたわけです。

おかげさまで1か月半ほど経ち、すでに10kgの減量には成功しました。噂にたがわず、ライザップのトレーニングは非常に負荷が高く、おまけに「炭水化物完全NG、お酒も完全NG」ということで、よく鬼門の忘年会シーズンを超えられたなぁと思うのですが(これには私の周囲の皆様のご理解があってこそと、そこも非常に感謝しています)、今でも鮮明に覚えているのは、ライザップの初日、これからトレーニングを共にするパーソナルトレーナーと初めて会って、彼が発した最初の一言です。

「体重を落とすことについては心配しないでください。それは確実に落ちます。目標は『いかに理想の体を作るか』、そこに置いてください」

私自身はライザップを始める前は当然ですが「体重を落とすこと」を目標に置いていました。ですがトレーナーはその先の「理想の体を作る」(ライザップのCMでよく見るような、筋肉ムキムキのボディのイメージが分かりやすいと思います)ことを目標にしなさい、と話したのです。これほど分かりやすく、またモチベーションの上がる目標設定の指導はなかなかお目にかからないな、とその時、強く思いました。ちなみにこの「理想のボディ」については「目指す人物名」を具体的に挙げる必要があり、私自身は格闘家の魔裟斗さんを目標に設定しました。
(余談ですが、この「目標人物」についてはスマホの待ち受けにして1日5回は見てイメージトレーニングしてください、とまで指導されます。おかげで事情を知らない人にスマホを見られると、少し勘違いされてしまうかもしれない・・・という状況になりました:笑)

体重を落とすことを目標としてしまうと、それ自体が辛くなってしまい、失敗してしまうことも多いと思います。現に私も年中ダイエット生活をしていましたが、実際には「よく飲みよく食べ」の日も多いので、増えては減らし、減らしては増え、の繰り返しでした。ですが「体重を落とすことは確実にできます」「その先の『健康的かつ理想的なボディ』を作りましょう」「魔裟斗さんを目指しましょう」と言われると、ダイエット自体にはすでに成功したような「錯覚」を覚えるのですね。

実際、トレーニングを開始してから体重が落ち出すまでには多少のタイムラグがありましたが、順調に落ち始めると「理想的なボディを作る」という目標に向かっている分、体重は「減るのが当たり前だよね」と思えるようになり、それをきちんと続けるために食生活の制限を守り、トレーニングも欠かさず通うという好循環を生み出すことに繋がりました。
トレーニングの終了まであと4か月半ほどありますので、ここからさらにどの程度減量し、また筋肉をつけることが出来るのか、自分でも楽しみです。

この2つの「目標設定」の話から思うことは、「一見無謀とも思えるような、極めて高い目標設定をすること」かつ「その目標が自身の人生の中で非常に意味のあることであると自分自身が心から納得できること」が、直近の様々な課題をクリアするためには有効に機能するということです。赤崎氏の場合は誰もが実現できなかった青色LEDを自分の手で必ず実現するという目標があったことで数々の実験の失敗を乗り越えたわけですし、私のダイエットの場合は単なるダイエットではなく「魔裟斗さんの体になる」という目標を設定することで、炭水化物・お酒NGかつハードなトレーニングという課題を日々クリアすることに繋がったと思っています。

このことをフロンティアリンクの2015年の目標設定に当てはめてみたいと思います。私自身にはライフワークである「地球の文明を宇宙に広げるための技術的な基盤と人材を育てる」という、もう一つの「極めて高い目標」の設定があります。この目標を達成するため、フロンティアリンクが開発した「新しい教育の仕組み=ライブラーニング®」の更なる深化を通じて、より良い教育をより多くの皆様が実感できる環境の実現に、2015年のフロンティアリンクは邁進していく所存です。

よりよい社会を実現するために必要不可欠な「教育の革新」に、フロンティアリンクは今年も全力で取り組んで参ります。
皆様の引き続きの温かいご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2015年 元旦
フロンティアリンク株式会社
代表取締役社長  佐藤 啓