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前回のドキュメント整備コラムでは、「ドキュメント整備はテンプレート整備から」「補足ドキュメントとして重要なQAシート」をシステム開発以外にどのように応用すれば良いかをご紹介しました。

そこで今回は、「見落としがちなドキュメント一覧」にてご紹介しました「ドキュメント一覧」をシステム開発以外にどのように応用すれば良いかについてご紹介しましょう。

皆さんの所属部署、チーム、個人など、仕事を実施するうえでのグループはいろいろと考えられますが、それぞれのグループの中で作成されたドキュメントは、皆さんや会社にとって、とても重要な資産になります。
グループ毎に整備されたドキュメント一覧があれば、初めてそのグループのドキュメントを探す時に、とても便利なツールとなりますが、実際には毎日のように新しいドキュメントが作成され、次から次に増えているドキュメントをドキュメント一覧で管理するのは、とても現実的ではありません。

そのため、ファイルサーバや各個人のパソコンにフォルダを作成して管理し、目的のドキュメントがどこにあるのかを整理している事が多いと思います。そこで、所属部署やチームなどのグループで管理されているファイルサーバ上の共有フォルダは、なぜかすぐにゴミで一杯になってしまう経験はないでしょうか?

ここで活躍するのがドキュメント一覧を応用したフォルダ一覧になります。ファイルサーバ上のフォルダは、放っておくと、次から次に増えてしまい、どこに、何のフォルダがあるのか、わからなくなってしまいます。そのため、上位階層のフォルダを明確に管理することで、ファイルサーバ上の各フォルダの利用方針が明確になり、目的とするファイルも探しやすくなります。

業務や業種・チームによってフォルダの分け方は異なると思いますが、上位2~3階層をフォルダ一覧で明確に定義することで、利用する人が、どこに、どのファイルを格納すれば良いのか?が、明確になります。もちろん、個人で管理するフォルダ管理にも適応可能です。フォルダ一覧を作成しなくても、自分の中で明確にフォルダ構成が作れている方は良いのですが、少し自信の無い方は同じ方法でフォルダを整理をするだけで、業務効率化に繋がるでしょう。

また、管理するグループ単位で共有フォルダの管理者(オーナー)を決めると良いでしょう。定期的に共有フォルダの中身を棚卸すると、より共有フォルダがゴミだらけにならず、フォルダ容量の増加を防ぐことに繋がる事と思います。

ここで挙げた管理者(責任者・オーナー)を決めるという事は、共有フォルダの管理だけではなく、ファイル管理にも共通して言えることです。せっかくドキュメント整備のために、ドキュメント一覧やQAシート、その他のドキュメントを作成したのに、情報が古くなっていたり、全く使われずにゴミとなってしまうこと、ありませんか?

特に複数人数で更新するドキュメント一覧やQAシートなどは、書く内容がわからない、他の業務が忙しくて忘れてしまう、などの理由によりなかなか更新されない事があります。

そこで有効なのが、ドキュメントに対する責任者(ドキュメントオーナー)を決めることです。特に複数のメンバーで更新するドキュメント一覧やQAシートなどは、誰かが記載してくれると思ってしまうと、そのまま放置されてしまいがちです。そこで、ドキュメントを更新するための責任者を決めることで、更新されていなければ、更新するよう、関係者に通知したり、自ら更新してもらいます。

このように、ドキュメントオーナーを決めることにより、作成したドキュメントや管理すべきドキュメントが放置されずに、生きたドキュメントとして、本来の役割としての効果を表すでしょう。

◆共有フォルダを甦らせるポイント
 ・上位階層のフォルダ一覧シートの作成
 ・共有フォルダの管理責任者の決定
 ・定期的に共有フォルダを棚卸する
 ・共有ドキュメントにも管理責任者を設定
 
共有フォルダを、常にきれいに整備しておくことで、チームとしての業務効率化に繋がるのではないでしょうか。
本コラムが、読者の皆さんの日々の業務に役立てば幸いです。

(担当:小口 真己) 

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前回は、リレーションシップの概要とリレーションシップの例をご紹介しました。
今回は、Excelを使うと管理の難しいデータを、Accessのリレーションシップを利用して管理する例をご紹介いたします。

「1対多」となるパターンのデータ管理は、Excelを使うと難しくなってしまいます。
例えば、下記のようなデータです。
 ・受注とその明細
 ・学生と履修科目
 ・社員と持っている資格

上記の例から「社員と持っている資格」をExcelで管理すると以下のような一覧表になります。

この表から、ある資格を社内で何名の社員が持っているかの集計はできるでしょうか?

Excelではフィルター、ピボットテーブル、自動集計のいずれでも、集計できるのは列ごとになります。同じ資格が別の列に入っている場合は集計できません。

Accessでは、上記1対多の「多」部分を別のテーブルにして「1」部分のテーブルとリレーションシップを設定することにより、様々な抽出や集計が可能となります。

 1)入力・確認用のフォームで、社員別の入力や確認ができます。

 2)レポートで「資格別の取得者」を集計したり、クエリで「部署別・資格別」に抽出が可能です。

本コラムにてご紹介しましたように、Excelでは管理が難しいデータもAccessでは容易に管理できます。
また、今まで活用に苦労していたデータをAccessへ移行することで、運用が簡単になることがあります。
違いを知って、業務にお役立ていただけましたら幸いです。

(担当:瀧川 仁子

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これまで6回にわたりドキュメント整備に関するコラムをお届けしてきました。これまでのドキュメント整備に関するコラムは、システム開発やシステム運用の現場において、どのようにドキュメント整備を浸透させればよいのかという観点でお話ししてきました。
しかし、ドキュメント整備が必要なのはシステム開発の現場だけとは限らず、あらゆる業務の現場に言える事ではないでしょうか。

そこで今回は、ドキュメント整備に関する第7弾のコラムとして、これまでの内容がシステム開発以外の業務にどこまで応用可能かを考えてみましょう。

まず最初に「ドキュメント整備はテンプレート整備から」よりテンプレートの応用について考えてみましょう。部門内で共通のテンプレートを整備することによるメリットについて考えてみます。

Microsoft Offie製品を使ったドキュメントが多いと思いますが、「パワーポイント」のマスターや「ワード」のヘッダー・フッター、ページ設定など、各部門や部署、会社で統一フォーマットがあれば、ドキュメント作成時の最初の設定にかかる時間が削減できます。テンプレートではなくても、Goodサンプルとしてのドキュメントを整理しておくだけで、作成にかかる時間は効率化されるでしょう。

また、部門毎に業務マニュアル、システム操作マニュアルなどのマニュアルがあると思いますが、それらのマニュアルに関しても統一のフォーマットで書かれていると、注意すべきポイントや作業の流れなど、見慣れたドキュメントのため、読みやすくなりますね。

次に「補足ドキュメントとして重要なQAシート」からQAシートの応用について考えてみたいと思います。QAシートは、新しい何かを作り上げるときには有効ですが、日々の業務への適用を考慮し、ドキュメントの意味合いを少し変えてみます。QA(質問と回答一覧)シートという考え方からFAQ(よくある質問集)シートに変えてみましょう。おそらく項目そのものは大きな違いはありませんが、目的を変えることで、ドキュメントのイメージが大きく変わってきます。

日々の業務を実施している中でのコツや、わからない単語などをこのFAQシートに掲載することにより、初めて該当業務を実施する人や、初めて部署に来た人に対する、引き継ぎ資料となります。
部門内で出た疑問点についてもFAQシートに記載しておくと、口頭で話したこと、メールでやりとりした事がその場で埋没せずに、共有事項として部門内に浸透します。
また、業務におけるトラブルについてもFAQシートに掲載することで、誰かの口伝えによる伝説などにならず、共有事項として部門内に残るでしょう。

FAQシートへの登録は部門内の全員がレベル感を意識せずに、とにかく登録することが重要です。
FAQシートでは、カテゴリなどの項目設定も重要ですが、誰が、いつ掲載したのか、また、誰が、いつ更新したのかが重要になります。FAQシートを参照する人は、カテゴリやキーワードで検索する事も多いと思いますが、「○○さんだったら知っていると思う」という観点から人をキーワードに検索することが多くなるためです。

それでは、システム開発以外にも応用可能なドキュメント整備のポイントについてまとめてみましょう。

◆システム開発以外でも重要なドキュメント整備のポイント

 ▼テンプレート
  ・ドキュメント作成にかける時間を短縮できる
  ・マニュアルなどのドキュメントが読みやすくなる
  ・まずはGoodサンプルの収集から

 ▼FAQシート
  ・業務や単語をFAQ形式でまとめる
  ・部門内で出た疑問点をFAQに掲載する→メールなどへの埋没が
  ・トラブルについてもFAQに掲載する

ドキュメント整備は、どの様な部門・部署、業務であっても必要な業務の1つですね。
本コラムが、読者の皆さんの日々の業務に役立てば幸いです。

(担当:小口 真己

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Access等のデータベースソフトは、Excelよりも大量のデータを保管して活用できます。
その「大量のデータ」を扱うために、データベースは様々な工夫をしています。
その一つが、「リレーションシップ」です。

Excelでは、一つの表に全ての情報が入るようにデータを作成します。
その際に「何度も出てくるデータ」はVlookUp関数を利用して表示することがあります。この時は、参照するための別表を作るため、一つの表に全ての情報を入れるのではなく、表を複数に分けてデータを管理します。
VlookUp関数を使用するのは、3つの目的のためです。
 1) 入力を簡易にする(ID番号を入力するだけで商品名や単価が表示される)
 2) 入力ミスを防ぐ(商品名や単価を間違えない)
 3) 入力値の整合性をとる(参照元データを変更すると、一覧表側のデータは変更された値が表示される)

さてAccessでは、基本的にデータの格納されたテーブルは複数に分かれています。そしてExcelでのVlookUp関数の場合と同様に、同じフィールドを「リレーションシップ」で繋いで、あたかも一つのテーブルであるかのように扱えます。
Accessでリレーションシップを設定する理由は、上記ExcelのVlookUp関数の場合と同じ考え方です。

そこで、ExcelのVlookUpとAccessのリレーションシップの違いについてご説明します。
Excelでは別表から参照値を主となるシートに転記することに対し、Accessのテーブルには参照された値を表示や入力せず、クエリ・フォーム・レポート等でそのつど繋げて出力することです。つまり、テーブルの各レコードごとに参照された値や数式の入力は不要です。
そのため、Excelよりもデータのサイズがコンパクトになり、より大量のデータを扱うことが可能になります。

なお、リレーションシップ作成の際に注意すべき点については、下記の記事をご参照ください。
http://www.frontier-link.jp/Blog/business/1455.html

今回はExcelでもVlookUp関数と似た機能としてリレーションシップをご紹介しましたが、次回、Excelでは管理が難しいデータをAccessのリレーションシップで解決する方法をご紹介いたします。
違いを知ることで、データ管理にお役立ていただければ幸いです。

(担当:瀧川 仁子

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同じ部署の人が突然部署異動や退職などにより、その人の業務を突然引き継がなければならなくなった経験はありませんか?もしかしたら、逆の経験を持っている方もいるかもしれません。

このような急な人事異動が発生すると多くの場合、上司が異動する人に対し「次の人がしっかりと引き継げるように、あなたの業務をドキュメントに残しておくように」という指示を出す事と思います。
この時、すぐに引き継ぎ先が見つかれば、引き継ぎ相手と相談しながら必要なドキュメントを整理すればよいので、ドキュメント整備の方針が明確となります。しかし、多くの場合は引き継ぐ人が居なく誰に向けて書けば良いドキュメントなのかわからなかったり、一時的に同じ部署で自分の業務で手一杯の人に対して引き継ぎが行われる事となり、ほとんどドキュメントを整備することなく異動の日を迎えるという事も多いのではないでしょうか。

引き継ぎドキュメントの作成に困ったときは、初めて現在の部署での仕事をやり始めたときの事を思い出してください。まず最初に、その部署特有の単語がわからず、関係者の立ち位置がわからず、業務の全体像が見えないために、自分がやっているタスクが、どのような意味があるのかわからない、という経験はありませんでしたか?

そこで、ドキュメント整備コラムの第2弾でお届けしました、ドキュメント一覧を作成するところから始めましょう。
ドキュメント一覧を「作業(業務)一覧」に置き換えて、時系列で並べると良いでしょう。「月次、週次、日次」などの定常的な作業の整理から始め、定常的ではないが、最初にとまどった作業を洗い出し、それぞれに対して簡単な説明を記載するだけで、引き継ぎ資料の目次ができあがりますね。後は、それぞれの業務を初めて実施した時の事を思い出しながら、困ったことやコツなどを記載していくと、引き継ぎドキュメントが単純な引き継ぎだけではなく、業務マニュアルになっていく事と思います。
各作業の成果物の格納場所や、参考となるマニュアルなどへの誘導も忘れないようにしましょう。

もし、最初の頃の事はすっかり忘れてしまったという人は、異動が決まる前の自分の1か月間の作業を全て時系列に並べて書き出してみてください。自分では当たり前と思っているレベルでも全て書き出す事が重要です。業務に慣れきっている人にとって、一覧作成が最も大変で手間がかかる作業になると思います。特に本人にとってドキュメント化するレベルではないと思う内容を書き出すのは、「本当に意味があるのか」と思われがちですが、何も知らない人に向けたドキュメントのつもりで作成すると、引き継ぎドキュメントとしての効果を発揮しやすくなります。

よく長期間その部署にいる人は、「これまで業務を教えてもらったことなどない」「自ら経験しなければわからない」と言いますが、また他の人に0から同じ事をさせるのでは、会社にとって業務効率が悪すぎます。もう少し視野を広げ、自ら習得した知識を少しでもドキュメントに残し、後から同じことを実施しなくても、良いようにしましょう。

また、「ドキュメントに残せるような業務は無い」と言う人も居ますが、人というのは業務の中で、自分にとっての当たり前が他の人にとっても当たり前と思ってしまいがちです。そのため、ドキュメント整備においては「行間を読む」「あうんの呼吸」みたいなものを読み手に求めてしまう部分がありますが、初めての人にはわからないと思ってドキュメントを残すことが意味のある引き継ぎドキュメントに繋がるポイントです。

◆引き継ぎドキュメント作成のポイント
 ・時系列をカテゴリに作業一覧を作成する
 ・現在の部署に初めて来た時を思い出す
 ・自分の当たり前と他の人の当たり前は違うと意識する

業務の引き継ぎにおいて、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉にあるように、全て完璧にすることは不可能だと思いますが、なるべく後の人が困らないようにしてあげる優しさを持てると良いですね。
本コラムが、読者の皆さんの日々の業務に役立てば幸いです。

(担当:小口 真己