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プレゼンにおける「分かりやすい話の流れ」について、何かルールはありますか?
プレゼンにおける説明の順番については、通常の「文章」を書く場合とは少し異なるというのが、私の考え方です。プレゼンにおいては「結論を先に、理由を後に」という流れを私はお薦めします。

学校の「国語」の時間に、文章の書き方は「起承転結」が基本であるということを習った記憶は皆さんもお持ちではないかと思います。この「起承転結」すなわち「結論が一番最後」という流れは、理解しやすいプレゼンの構成を考える際には避けるべきです。理由は2つあり、一つは文章とプレゼンの制約的な違い、もう一つは人間の思考回路に起因する違いです。

文章とプレゼンの一番の違いは「時間の枠が決まっているかどうか」です。文章を書く場合、字数制限がないのであれば基本的には自分で文章の長さを決めることが出来ます。一方で、プレゼンは時間の枠が決まっていることが殆どです。結論に達する前にその理由や状況等を述べてしまう「起承転結」で話をしていくと、最悪の場合は結論に達する前に時間切れとなってしまう可能性もあります。文章や物語であれば「次回をお楽しみに」で済むかもしれませんが、プレゼンで結論を述べられなかったら「次回はありません」(=もう来なくて良いです)となってしまいます。

そして、結論を先に述べることをお薦めする最大の理由は、人間の思考回路との親和性にあります。人間の思考回路は「ピラミッド構造」になっており、最上段に結論、その下にキーポイント、キーポイントの下に詳細な理由や状況、という位置付けで理解を進めていきます。従って

「私はこう思います。なぜならば、Aだから、Bだから、Cだから」

のように「結論→理由・状況」という流れで説明をする方が、

「Aでした。Bでした。Cでした。だから私はこう思います」

等の「理由・状況→結論」という流れよりも「自然と頭に入る」=理解しやすくなるのですね。
(ここまで読み進めていただいてお気づきかもしれませんが、実はこのコラムの流れ自体も「結論→理由・状況」という形式に従っています)

このように「自分が伝えたいこと=結論が決まっている」場合には、結論を先に述べ、その結論に至った理由や状況を後に述べることで、相手が理解しやすい形で内容を伝えることが出来ます。なお、多くの文章・物語が「起承転結」の構成を採る理由の詳細についてはここでは触れませんが、一つには「結論」を後に置くことによって読者の興味・関心を惹きつけ、長時間楽しんでもらうことを目指しているのではないかと私は考えています。これは「映画」のシナリオを考えるとよく分かります。映画が始まってすぐに問題解決してしまったら、お客様はきっと帰ってしまいますよね。

皆さんの周りで「この人の話は分かりやすい」と思う方がいらっしゃいましたら、是非その方の「話の流れ」を観察してみて下さい。おそらく「結論を先に、理由を後に」話をしている方が殆どではないかと思います。この流れはプレゼンだけでなく、通常の会話一般でも応用可能なのですね。参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓