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ビジネスパワーアップコラム<プレゼン編> 第二回

前回のプレゼン編コラムでは「プレゼン作成の最初のキーポイント」について触れましたが、今回も引き続き、実際の作成前に押さえておきたい重要ポイントを取り上げたいと思います。今回のテーマは「プレゼン資料の作成時間を短縮させる方法」です。

これはビジネスにおける資料作成全般に共通することですが、作成時間の目安を付けやすくするためには「枠」を決めてしまうことが大切です。プレゼン資料であれば枚数がこの「枠」に相当するわけですね。何枚のプレゼン資料を用意すれば良いのかを予め決めてしまえば、その枚数分だけの作成作業をすれば良いわけですから、トータルの作成時間の見当を付けやすくなります。

逆に言えば、特に何も考えずに、自分が思いついたものを順番に書いていくだけの資料構成では、作成時間も膨大になってしまいがちですし、後から構成を見直した場合に「不要な資料」が紛れ込んでいて、結局その資料を削ることでその分の作業時間が「無駄」になってしまうことも起こりうるわけですね。

もっと悲惨なのは、プレゼンは持ち時間が決まっていることが多いので、「枠」を決めずに資料を多く用意してしまった場合、時間内に伝えたいことを伝えきれず、「尻切れトンボ」的に終わってしまう状況が発生する可能性が高いということです。これでは「失格プレゼン」になってしまいます。

では、この「枠」はどのように決めるべきなのでしょうか。私は「プレゼンの持ち時間」から逆算する方法をお薦めします。多くのプレゼンでは「持ち時間」が決まっているので、この「持ち時間」から用意する枚数を逆算するわけですね。

この「時間と枚数の適切な関係」には色々な考え方があると思いますが、私はまずは「1枚1分」で話をする訓練をすることをお薦めします。この1枚1分というのは数字としてもきりが良く覚えやすいですし、適度なテンポを保って話が出来るので、聞いている方も話に集中することが出来ます。さらに、それぞれのスライドを1分でまとめようとすると、内容をかなり絞り込まなければならないので、自ずと密度の濃いプレゼン資料を作ることが出来るようになります。

この「1枚1分」の枠を決めてしまえば、トータルの持ち時間から逆算することで、用意するスライドの最大枚数を「作成前に」決めてしまうことが出来ます。なお、厳密に1枚1分で話をすることは難しい場合もありますので、多少間引いた枚数、例えば10分の持ち時間であれば9枚程度、15分なら12~13枚、30分なら25~26枚程度、と、若干の幅を持たせることはもちろんですが、大丈夫です。

ちなみに、スライド1枚当たりの作成時間は人によって異なるかとは思いますが、1枚30分~2時間くらいの範囲で収まると思います。従って、作成枚数が決まってしまえば、トータルの作業時間も決まることになります。これにより、作成作業を開始する前に、作業のスケジューリングを行いやすくなるわけですね。作業時間が延びてしまい、他の業務に影響を及ぼしてしまうことも避けることが出来るようになります。

適切な作業スケジューリングはビジネスにおいて重要なポイントの一つですが、精度の高いスケジューリングを実現するためには「枠」を決めてしまうことが有効な手段の一つとなります。プレゼン準備においてもこれは当てはまります。プレゼンの作成にいつも時間がかかってしまったり、なかなか手が動かない方は、是非この「1枚1分」の原則を試してみて下さい。作成時間の短縮はもちろんですが、プレゼンの内容をより良くするためにも、効果を発揮すると思います。

(担当:佐藤 啓

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ビジネスパワーアップコラム<プレゼン編> 第一回

プレゼン。ビジネスを進める上で「切っても切れないもの」の一つですね。社内外でビジネスを進めていく時に、他人や他社を巻き込んで「より大きなこと」を成し遂げたいと思ったら、自分の考えをプレゼンし、相手の同意を得られることで初めて次のステップへ進むことが出来るようになります。

ところが、このプレゼン、おそらく多くの方は多かれ少なかれ「苦手意識」をお持ちなのではないでしょうか? 「私はプレゼン大好きです!」という人は、少なくとも私の周りではなかなかお目にかかることが出来ません。私は有難いことに、実際にプレゼンをすると「分かりやすい」「面白い」と言っていただけることもあるのですが、正直に言えば、プレゼン資料を作成している間はもちろん、本番前のリハーサルを繰り返している間などは「早く終わらせて飲みに行きたい!」と思うこともしばしばです。

もしも皆さんが私の気持ちに近いものをお持ちでしたら、少しは気持ちを楽にしてプレゼン資料を作成し、本番でよいパフォーマンスを出すための「ワンポイントアドバイス」を、ビジネスパワーアップコラムの「プレゼン編」としてしばらく取り上げていきたいと思います。これらのアドバイスは私自身が実際にプレゼン資料を作り、プレゼンをし、あるいは他の方のプレゼンを聞いたり、自分自身で勉強したりする中で「実際のビジネスに適用することで」有効性を確認してきたものばかりです。少しでも参考にしていただければ、大変幸いです。

さて、第一回では、プレゼンの資料作成を始める前に、最初に注意しておきたい「作成における最初のキーポイント」について、話をしたいと思います。

皆さんはまず「プレゼンの『目的』とはなんでしょう?」と聞かれたら、何を想像しますか? 何のためにプレゼンをするのですか? という話ですね。私自身の「プレゼンの目的」に対する答えは「自分が伝えたいテーマに対し、相手の同意を得ること」です。どのようなプレゼンであっても、話を聞く「相手」がいて、その相手に自分が「伝えたいこと」を説明し、相手の同意を得ることが出来て初めて「成功」と言えると考えます。逆に言えば、いくら自分がうまく話をしたつもりでも、相手の同意を得られない場合には、別の機会に再度チャレンジをしたり、あるいは残念な場合には商談自体を逃してしまったり、ということになるわけですね。

この「自分のテーマを伝え、相手の同意を得る」ことを達成するために、いろいろな観点からプレゼン資料を作成し、準備をしていくことになるのですが、そもそもどうすれば「相手の同意」を得ることが出来るのでしょうか? 「それが分かれば苦労しないよ」と思ってしまうかもしれませんが、もしプレゼンを成功させたいと本気で思うのであれば、「どうすれば相手の同意を得られるのか」言い換えれば「何が相手の『押しボタン』なのか」を突き詰めて考えなければなりません。

少し立場を変えて考えてみましょう。皆さんが例えば、家を買うことを考えてみましょう。最終的に、どのような状態になったら「ここで家を買う!」と決められるでしょうか? 家を買う場合、間取り・交通の便・価格・購入タイミング等々、いくつかの「購入に関するチェックポイント」があると思います。これらのチェックポイントに関する皆さんの「疑問」が解消されないうちは、購入の決定は少なくとも、難しいですよね。逆に言えば、これらのチェックポイントに関する疑問が全て解消されれば、購入を決定できるわけです。

ここでのキーワードは「疑問」です。簡単に言えば、ある物事に対して「疑問」を持っている間は、判断を「気持ちよく」行うことは難しいということです。逆に言えば、疑問がなくなればなくなるほど、その物事に関する決定を下しやすくなるということですね。

実はこのポイントは、プレゼンに関しても全く同じです。少なくとも相手が色々な「疑問」を感じている間は、相手は皆さんのプレゼン内容になかなか同意できません。逆に、皆さんのプレゼン内容に相手が疑問を持たなければ、少なくとも論理的には相手は皆さんの話に「納得」します。(ただし、論理的に納得したとしても、「心理的に」納得しているかどうかはまた別の問題なので、そこは難しいところなのですが。ただ、論理的な納得感がなければ、心理的な納得感があってもやはりダメなことも事実です。従って今回は論理面の話を中心とし、心理面の話はまた別の機会に取り上げます)

この「相手が持つ疑問」を先回りで予測し、その疑問に対する的確な答えを示すこと。それがプレゼンの作成における「最初のキーポイント」なのです。そして、これはいわゆる「論理思考」「ロジカルシンキング」における「最も基本的な考え方」でもあります。相手の疑問に対して的確な「答え」を示し、相手が皆さんの話を「矛盾・飛躍・疑念」を感じずに聞くことが出来れば、少なくとも論理的には「納得」できることになります。

では、相手の疑問はどうすれば分かるのか。これはひたすら「相手の立場に立って」考えるしかありません。その際は、是非客観的に「自分の話にダメ出し」することを繰り返してみて下さい。どんなに自分の話が素晴らしいと自分自身で思っていたとしても、「突っ込みどころ」がゼロという話はやはり、なかなか難しいと思います。その「突っ込みどころ」が、まさに相手の持つ「疑問」のポイントになります。従って、この「突っ込みどころ」に対して、出来るだけ客観的な事実や実績等を説明し、相手の「疑問」を解消する必要があるわけですね。

何が相手の疑問なのか。自分の話の中に、相手が突っ込みを入れそうなポイントはまだ残っているのか。これを深く考えれば考えるほど、プレゼンの「精度」は上がります。

プレゼンは「自分が伝えたいことを単に話すもの」ではなく「相手の質問に出来る限り先回りして答えながら、自分の伝えたいことを要所要所に織り交ぜていくもの」であるというのが、私の考えです。プレゼンが苦手という方は、まずは「相手なら自分の話にどのような突っ込みを入れるだろうか」ということを是非、考えてみて下さい。それがプレゼン作成の「最初のキーポイント」です。

(担当:佐藤 啓