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色の持つ効果についてのシリーズ第八回目のWeb系コラムでは、好みが分かれやすい紫色を使用する際のポイントについて見てきました。今回は複数の色を使用する際のポイントと具体例について説明したいと思います。

複数の色を使用することで、Webサイトの印象が活発で華やかになります。
本コラムにおける複数の色を使用するとは、複数の色相を使用することです。言い換えますと、赤色と薄い赤色とピンク色という似たような色の組み合わせではなく、赤色と緑色と青色という異なる色の組み合わせのことを言います。

ただし漠然と複数の色を取り入れるだけでは、かえって雑多な印象になりかねない点に注意が必要です。色にはそれぞれ異なるイメージがあることを、これまでの色に関するシリーズでお話してきました。扱う色が増えれば増えるほど、配色としてまとめることが難しくなります。
扱う色を増やすポイントは、まずロゴの色などからテーマカラーを決めます。そしてそのテーマカラーを邪魔しない程度に複数の色の面積を選択し、調整は明るさや鮮やかさを揃えることで行います。複数の色が占める面積が多すぎると、配色が雑多なイメージになる一因となりますので、テーマカラーの面積と同じかそれ以下に複数の色の面積を控えることが、うまくまとめる1つのコツになります。Webページ全体を見た時、複数の色を扱う領域と扱わない領域をそれぞれ作ることで配色のメリハリが生まれますので、より整ったイメージを出すために効果的です。

複数の色の使用例を以下から見ていきましょう。

SOUWAI

ロゴの二色を中心に、野菜の鮮やかな複数の色が映える配色です。ロゴの色にやや彩度を落とした純日本的なイメージを与える色が使われているため、メイン画像の野菜それぞれの色が強いインパクトとなり、楽しいにぎやかな印象が生まれています。

大森家政専門学校

上部のグローバルナビゲーションや中央下のコース案内部分にあるような高彩度の明るい色を使うことによって、活発で楽しい印象が生まれています。中央下のコース案内部分では複数の色が使用されていますが、同一の場所に配置されているため全体としても配色がすっきりとしている点がポイントです。また、余白を広く取ることで高彩度の色のイメージを各色同士が妨げないような工夫がされています。

MJS

Webページを開いた瞬間に目に飛び込んでくる5つの配色は、それぞれが高彩度高明度という非常にインパクトの強い色が使用されています。目立たせたい5つの配色以外は白と灰色の無彩色が基本となっているため、複数の色を扱っている場所と扱っていない場所の区切りが明確です。どこを見るべきかという視線誘導が上手くなされている配色となっています。

(担当:斉藤 万幾子

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第八回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想に繋げるための情報の統合方法の基本をお話ししました。情報の統合を考える際には、大きく、

・足し算
・引き算
・かけ算

の3つの考え方があり、中でも足し算が最も基本的なアプローチであることを説明しました。足し算による情報の統合については、

・アイデア発想の基本は「足し算」である
・足し算の基本は「あったらいいのに」を考えることから始まる
・2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えてみる

以上のポイントを押さえておく必要がありました。

今回のコラムでは、情報の統合方法の2番目の方法である「引き算」について説明したいと思います。

アイデア発想の基本は「足し算」なのですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということわざにもある通り、あまりにもいろいろな情報を足し合わせすぎると、かえってアイデアの本質がぼやけてしまうことが多くあります。

分かりやすい例が直近のスマートフォンの機能進化でしょう。従来のケータイからスマートフォンに市場が急速にシフトする中で、元々の携帯電話の機能であった「通話」や「メール」以外の様々な機能がスマートフォンに追加されています。これを便利と感じるユーザーがいる一方で、従来のケータイユーザーからは「こんなにたくさんの機能は使いこなせないだろう」「シンプルに、電話とメールだけが利用できれば良い」という声も多く聞かれているようです。

従来のケータイはOS(基本ソフト=スマートフォンであれば、AndroidやiOS)やアプリを全て独自に開発・チューニングする必要がある関係で、現状ではスマートフォンよりも開発コストが相当高くなってしまっています。そのため、この原稿を書いている2013年の夏モデルに関しては、主要3キャリアからはケータイの新機種は一つも発表されず、スマートフォンのみが市場に投入されています。一方で、例えばNTTドコモで近年最も売れた端末はパナソニックの「P-07B」という通常のケータイであるという話もあります。ソフトバンクでもiPhoneの次に売れているのは通常のケータイだそうです。

スマートフォンにはその特性上、色々な機能を簡単に追加できますが、今でも従来のケータイが売れ筋であるという事例からは、単に「足し算」で考えるだけでなく、逆に「携帯電話の本質=通話とメール」以外の機能は「引き算」で考えることで、よりシンプルに、市場が望むものを想像することが可能となることをイメージできるかと思います。実際にこの流れは、今年の春モデルくらいから徐々に見られる「シンプルスマホ」=機能や操作画面をシンプルにしたスマートフォンにて現れてきており、従来のケータイの開発が現状では難しい以上、このようなシンプルスマホの流れも今後は目立ってくるのではないかと私は考えています。

アイデア発想において「引き算」が有効となる最も分かりやすい場面は、「プレゼン」や「デザイン」です。一目で分かるプレゼンのスライドや、パッと見て印象に残るデザインを想像していただければ分かりやすいのですが、どちらもその構造が非常に「シンプル」であることが多いと思います。シンプルとは「わび・さび」にも繋がるポイントですが、言葉を換えれば「余計なものを極限までそぎ落とし」「伝えたいことの本質に迫る」作業と捉えることも出来ます。

このような作業を行う場合、最初から「引き算」が可能なわけではありません。あくまでも、最初のステップは「足し算」、すなわち必要な情報の「組み合わせ」をいくつか考えることからスタートします。ただし、大切なポイントは、単に「足し算」を行っただけで済ませるのではなく、ある程度の情報を足し合わせ、ここから先はもう追加する情報はないと判断した時点で、そこから一歩引いて客観的に「本質」を考え、本質に対して不要なものを見極めながら「引き算」をすることとなります。この「一歩引いて客観的に本質を考える」ステップを踏まずに、足し算だけでアイデアを考えてしまうと、「余計な機能がたくさん入った」=「市場を向いていない」製品が出来てしまったりする可能性が高くなるわけですね。

まとめますと、

・情報の統合においては、「引き算」も「足し算」と同様に重要である
・足し算での情報の組み合わせをある程度考えた上で、次に引き算を考えてみる
・引き算を行う際は常に「アイデアの本質」を客観的に見据えた上で、余計な情報のそぎ落としを意識する

以上が「引き算」に関しての重要なポイントとなります。

「押しでもダメなら引いてみる」ではないですが、アイデア発想の上では、足し算と引き算のバランスが非常に大切です。
何を足し、何を引くか。足し算と引き算の発想が自由に行えるようになると、アイデア構築の効率が一層高まります。是非参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓

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ドキュメント整備に関するコラム第4弾は、ドキュメント作成に対する意識についてお話しします。
前回のコラムではテンプレート整備の重要性についてお話ししましたが、今回はテンプレートに頼りすぎることの問題点に触れながら、ドキュメントはどの様に作成されるべきなのか、考えてみたいと思います。

前回のおさらいになりますが、テンプレート整備は、ドキュメントの誤読を防ぎ、作成にかける時間の効率化に繋がり、品質を一定にし、最低限の必要なドキュメントがあらかじめ見えてくることがポイントとなります。

しかし、テンプレートがしっかりと整備されてしまえばしまうほど、テンプレートに頼りすぎたドキュメント作成になってしまい、本来伝えなければならない要件や設計が伝わらないドキュメントとなってしまう事があります。

具体的な例を挙げながらお話しましょう。
画面設計を示す設計ドキュメントをテンプレート化するときに、画面上のボタンの表示/非表示に関する条件式の記載場所はテンプレート化できますが、画面上に表示されるボタンの条件が1つや2つではなく複数の要因による複雑な条件となってしまった時に、無理にテンプレート上で記載しようとして、わかりにくいドキュメントになってしまう事があります。
本来であれば、別にページを設けてマトリックス表などを作成すると、わかりやすい内容になるところですが、テンプレートに合わせなければいけない、という考えに囚われすぎると、本来伝えるべき内容が伝わらなくなってしまうのです。

また、あらかじめテンプレートを決めてしまう事で、テンプレートとして準備されたドキュメントだけ作ればよいという勘違いをしてしまうのも問題です。システム開発のプロジェクトに同じプロジェクトは2つとありません。そのため、他のプロジェクトのテンプレートやドキュメントは、最初にテンプレート展開するときには、とても重要な参考資料となりますが、プロジェクト別に必ずテンプレートでは表せないドキュメント作成が必要となります。

そのため、テンプレートを展開することで、作業効率化や最低限の品質を保つことはできますが、テンプレートは意思疎通のための共通言語となる土台と考え、テンプレート上に表すドキュメントは「誰に何を伝えなければならない」のかを常に考えながら書くべきものです。

「誰に何を伝えなければならない」ドキュメントなのかを考えるときに、漠然としてしまって難しいと思うのであれば、チームメンバーの誰に伝えるべきものなのか、クライアントの誰に伝えるべきものなのか、具体的な人を考えながら記載するだけでも違ってきます。その伝えるべき相手をイメージしながら書く事で、何を伝えなければならないのかが明確になる事でしょう。

明確な誰かをイメージする事から、ステップアップすると、多数の人に対するわかりやすいドキュメント作成に繋がります。

これまでのお話からも考えられるように、テンプレートというのは、常に変化していくべきものになると思います。もちろん1つのプロジェクトや1つのフェーズの中でテンプレートを変えていくのは、本来のテンプレート整備のメリットを無くしてしまうので、問題ですが、プロジェクトやフェーズが進むタイミングにテンプレートを変更させるのは、チーム全体のドキュメント品質の強化に繋がります。

テンプレートの改善までは難しくても、これまでのテンプレートを使った良い事例をチーム内で展開するだけで、ドキュメント品質の強化に貢献できます。この様にプロジェクト実施中における、ドキュメント整備にかける時間を少しだけ意識することで、より良いドキュメントを残すことができるでしょう。

◆ドキュメント作成に対する意識
 ・テンプレートに頼りすぎない
 ・テンプレートは意思疎通のための共通言語
 ・誰に何を伝えるべきドキュメントなのかを意識にする
 ・テンプレートは改善していくべき

今回は、前回のテンプレート整備に関する重要性の背後に潜む、システム開発の現場における落とし穴についてお話ししました。プロジェクトを進めるうえで、テンプレート整備をする時には、テンプレートに対するチームメンバーの意識づけも重要なポイントとなる事が、おわかりいただけたのではないでしょうか。

本コラムが、読者の皆さんの日々の業務に役立てば幸いです。

(担当:小口 真己

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Excelにおける「関数」といえば「計算する」イメージがありますが、実際には計算だけではなく様々な処理に活用できます。
意外ですが、「文字」に関する処理を行う関数があるのはご存知でしょうか。
たとえば、下記のように「文字を取り出す」関数や「文字数を数える」関数もあります。ここでは、仮に「2013BZ001」がセルの [A1] にあると仮定して数式を記載しています。

さて、「文字列連結演算子」では「都道府県名と市区町村以下の住所を一つのセルに結合する」方法をご紹介しました。
今回は、逆に「住所を都道府県名と市区町村以下に分ける」方法を、上記の文字列操作関数を利用してご紹介いたします。
ただ、都道府は3文字ですが県は4文字の場合もあります。そこでIF関数で「県」の文字が4文字目にあるかそうでないかにより処理を分ける必要があります。ここでは、仮に住所列を [A] 列とし、住所のデータが入っている行を [1] 行目と仮定した数式を記載しています。

文字列操作関数には、この他にも「文字列の置換」「同じ文字列を指定した回数繰り返す」「数値を文字列に変換する」「英字を大文字(または小文字)に変換する」「全角の英数カナ文字を半角に変換する、または半角の英数カナ文字を全角に変換する」など、様々な関数があります。

また、機会がありましたらこれらの関数についても、今回の様に実際の利用例を交えてご紹介いたします。

今まで手作業で苦労されていたケースもあると思います。そのような際に活用していただければ幸いです。

(担当:瀧川 仁子

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第七回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想の上で必要となる様々な情報の収集源について、私が日常的に利用しているものをいくつかご紹介しました。ニュース・雑誌・書籍等のいろいろな情報がある中で、アイデアの基となるヒントは「ゴミ箱」=通常ならば見落としてしまうような、メルマガやDM等の中にも入っている可能性があるので、時々見てみると何か良い発想がひらめくかもしれない、という点がポイントでした。

第四回のコラムから前回のコラムまでは、いわゆるアイデアの基となる情報の収集に関するポイントをテーマにお話をしてきましたが、今回のアイデア発想法コラムからは、具体的にアイデアを構築していく段階での具体的な考え方についてのお話をしていきたいと思います。

問題を発見し、その問題の原因を考察した上で、必要と思われる情報の収集を幅広く行った後で必要となるアイデア構築作業は、一言で言えば「統合」になります。アイデアに繋がる様々な情報をどのように「統合」して、アイデアの原型を形作るか。この統合方法の基本的なポイントを押さえておくことで、発想を効率的に広げることが可能となります。

アイデア発想に繋げるための情報の統合方法は大きく、

・足し算
・引き算
・かけ算

この3つの手法があります。今回のコラムではその中で最も基本である「足し算」についてお話しします。

アイデアの元々の定義が「情報の新しい組み合わせ」であることからも分かる通り、まずは様々な情報を「足し合わせて」新しい価値を考え出すことがアイデア発想の基本となります。例えば「自転車」であれば、古くはホンダのスーパーカブ、近年では電動アシスト付き自転車のように、「自転車」と「動力機関」の組み合わせで新しい乗り物の価値を創造したり、「ウォシュレット」であれば、「便座」と「洗浄機能」の組み合わせで新しいトイレ用の機器を生み出したりなど、「足し算」によって新しい価値が構築されている事例は数多くあります。

足し算でアイデアを発想する際のキーワードは

あったらいいのに

です。

例えば、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン等のモバイル機器を持ち運ぶ方の中では、バッテリーで使用できる時間を気にされる方も多いと思います。私自身もその一人なのですが、一日外出をしている間、AC電源に一度も接続できなくてもモバイル機器を安心して使えるようにするための「モバイルバッテリー」が最近では人気を集めています。ただ、このモバイルバッテリーですが、USB経由での給電を行うものが現在では主流で、家庭用のコンセントと同じACプラグを備えているものは殆どありません。充電器の中には、ACプラグのみに対応しているものもまだ多いですので、「あったらいいのに」を考えると、

「モバイルバッテリー」に「ACプラグ」があったらいいのに

と、なるわけですね。

実際いろいろ検索してみると、カメラマン向けの機材で、ストロボを電源のないところでも使用できるように、バッテリーとDC/ACインバータを内蔵した機材は市販されていましたが、重量が約1.6kgと、携帯できる大きさとしてはやや大きい印象がありました。これ以外にもノートパソコンに給電可能なモバイルバッテリーもありますが、私の使っているノートパソコンは電源コネクタの形状が特殊で使用できないため、テストとして自動車用のDC/ACインバータとモバイルバッテリーを繋げて、モバイルバッテリーから100V電源を取れないかなと思っています(すみません、ちょっとマニアックな話で)。

もちろんですが、ニーズ云々の問題がありますので、上記のような製品が市販化されるかどうかは別問題です。ですが、アイデア発想の上ではこのような「あったらいいのに」を考えることが近道であることはイメージしていただけるのではないかと思います。

もう一点、足し算で考える際の重要ポイントは、

2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えられないか

という点になります。

2つの情報の組み合わせだけでは、他の人も容易に発想できる可能性が高いですので「オリジナリティ」や「競争有意性」が働きにくくなってしまいます。これが、3つや4つ以上の情報の組み合わせとなると、同じ発想が別の場所で発生する確率は低くなります。例えば、私自身が常々思っているのは「クレジットカードやポイントカードの束を、なんとかできないか?」ということです。クレジットカードだけでなく、ポイントカードや会員証等々まで入れると、私自身が日頃持ち運ぶカードの束は、厚さでいえば2cm近くになります。これを1枚のカードに情報を全て集約することが出来れば、どれほど楽になることでしょう。

この「複数のカード情報を1枚に集約する」という基本機能に加えて、例えば「表面をディスプレイにして、カードの画像を都度切り替えて表示できるようにする」「通信機能を付けて、お店に入ったら自動的にそのお店のポイントカードが表示される」等の機能を「足し算」していくと、オリジナリティが高くなっていきます。個人的には、ソニーがFelica技術と有機EL(あるいは電子ペーパー)の「足し算」で、このような「スマートカード」を作ってくれないかな・・・と思ったりしています(どうでしょう、ソニーさん?)。ちなみに、スマホのアプリではこれに近いものは存在しますが、「ATM」や「自動券売機」等での利用を考えると、カードサイズのモバイルデバイスのニーズは間違いなく今後も存在するのではないかと私自身は思っています。

まとめますと、

・アイデア発想の基本は「足し算」である
・足し算の基本は「あったらいいのに」を考えることから始まる
・2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えてみる

ことが、今回のお話のポイントとなります。まずは、皆さんがお使いの身近なアイテムに関して「あったらいいのに」を考えてみることから始めますと、アイデア発想の訓練を楽しく行うことが出来るかと思います。是非、参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓