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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第十回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想における「かけ算」の考え方についてお話ししました。アイデアを発想する上では「効果的にアイデアを膨らませるためのキー情報」が存在し、それらのキー情報と、アイデアの基本となる情報を「掛け合わせる」ことで、様々なアイデアを発想しやすくなる点がポイントでした。具体的なキー情報としては、

・テクノロジー
・ネットワーク
・時系列

以上の3点が存在し、アイデアを発想する際には「技術」「繋がり」「時系列」にヒントを得ることが出来ないかを常に考えることが重要でした。

今回のコラムからは、アイデアを思いつく瞬間までの情報整理におけるプロセスで常に意識する必要がある「連続性」をテーマにお話をしていきたいと思います。

連続性とは簡単にいえば

「理想」と「現実」それぞれへの軸足の置き方

であり、言い換えれば

・理想=非連続=「出来たらいいな」を考えること
・現実=連続=「世の中のトレンド」を考えること

となります。

アイデアを発想する上で、「行き詰まり」を感じてしまうことはよくあります。何も発想が出ない、情報を色々拾っていっても思い浮かばないというときに、この「連続性」に手がかりを求めることで新たな発想が浮かぶことが多いのです。すなわち、

「連続性」とは、アイデア発想の上で常に立ち帰るべき「もう一つの原点」

とも捉えることが出来ます。問題とその原因をアイデア発想の根本的な動機とするならば、連続性はアイデアをひらめくまでの道筋において、迷った際に常に戻るべきポイント、というイメージとなります。

今回は連続性を考える際の基本である「理想」と「現実」のうち、「理想」についてのお話をします。

皆さんは、「ドラえもんの歌」は頭に浮かびますでしょうか? 「こんなこといいな できたらいいな あんな夢こんな夢 いっぱいあるけど」という歌い出しが私はとても好きなのですが、これは「理想」を考える上での一番分かりやすいアプローチ例です。理想視点で考える際には、現実・現状等を一切無視し、純粋に心の底から「出来たらいいな」を考えることが最も基本的な方法となります。

「出来たらいいな」を考える上では、マンガやSFの世界も非常に参考になります。例えばドラえもん以外にも、私が幼少時に好きだった鉄腕アトムや宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムなどの世界から、私自身はインスピレーションを受けることも多くあります。私自身は現在は教育に主軸を置いた仕事をしていますが、将来的には宇宙に関係する仕事を手がけたいと思っています。そのように考えるようになったきっかけの一つとして、ヤマトやガンダムの世界からの影響は確実に存在すると思います。

あるいは、ドラえもんの話で言えば、数あるひみつ道具のうち、「糸なし糸電話(=携帯電話)」や「トレーサーバッチ(=GPS)」は既に実現していますし、「立体コピー機」は最近流行の3Dプリンタとしてトレンドを賑わせています。あるいは「透明マント」さえも、完全に透明とは言えませんが、ある程度透明に見えるものは実現しています(これらに興味のある方は「すでに実現していた!ドラえもん秘密道具」なども見てみていただければと思います)。

言い換えれば、「理想を考える」ということは「制約を外す」ということでもあります。第三回のアイデア発想法編コラムでは「制約」の重要性を述べましたが、制約の下に考えを進めていくと、制約に縛られた結果、良いアイデアが思い浮かばないということもあります。このような場合は上記のように「理想を考える」=「制約を外す」ことで、いろいろと浮かんでくることもあるのですね。

私自身は「科学は理想を実現するためにある」と考えています。そして、人間の想像力=「理想を想い描く力」は、それこそ想像以上に素晴らしいとも。マンガやSFの世界で実現している未来の姿は、確実にアイデアのヒントを与えてくれます。空想ばかりをしていても物事は先には進みませんが、現実ばかりを気にしていると逆に新しいことにチャレンジできなくなってしまうかもしれません。皆さんも是非、アイデアに行き詰まったときは、昔好きだった、あるいは今でも好きなマンガやSFの世界に改めて触れてみてはいかがでしょうか。このような「理想視点」でアイデアのヒントを探してみると、また新たな「気づき」があるのではないかと思います。参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第九回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想の上での「引き算」の重要性をお話ししました。アイデア発想の基本は「足し算」となりますが、情報の足し合わせだけを考えると、かえってアイデアの本質がぼやけてしまうこともあります。そのため、

・情報の統合においては、「引き算」も「足し算」と同様に重要である
・足し算での情報の組み合わせをある程度考えた上で、次に引き算を考えてみる
・引き算を行う際は常に「アイデアの本質」を客観的に見据えた上で、余計な情報のそぎ落としを意識する

以上のポイントに留意し、足し算と引き算の発想が自由に行えるようにすることが、アイデア発想の効率を高める上では重要でした。

今回のコラムでは、情報の統合方法の3番目の方法である「かけ算」について説明したいと思います。

通常の算術演算でも、「足し算」「引き算」で得られる数値よりも「かけ算」で得られる数値の方が大きくなりやすいイメージがあると思います。情報の統合方法においても、「かけ算」を意識することで、アイデアをより大きく膨らませることが可能となります。言い換えれば

「かけ算」=「アイデアを大きく膨らませるためのキー情報」

というイメージとなります。私はこのキー情報について

・テクノロジー
・ネットワーク
・時系列

この3点が重要であると考えています。

「テクノロジー」はキー情報の中でも一番理解しやすい部分だと思います。例えば、ここ数年のインターネットの高速化とモバイル化、あるいはクラウドの普及により、一昔前では夢物語だった「どこでもビデオ通話」や「写真や動画などの瞬時の共有」「音声解析によるパーソナルアシスタント(Siriやiコンシェルなど)」が可能となっています。あるいは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた様々な臓器作成や治療に関する研究(直近では目の網膜再生にiPS細胞を用いる臨床研究を行うことが厚生労働省に認可されました)も、テクノロジーの効果に関するイメージを身近に感じさせる例でしょう。

このように、アイデアの根幹を成す情報にテクノロジーを掛け合わせることで、アイデアを様々な方向に広げることが可能となります。従って、ある程度大ざっぱでも構いませんので、最新のテクノロジーに関する知見は常に持ち合わせるようにしたいですし、可能であれば実際に「触ってみる」ことも大切なポイントとなります。

「ネットワーク」については先程のインターネットもその一部に含まれますが、より広義の「繋がり」という意味をここでは指します。一番分かりやすい例は「人と人との繋がり」です。一人で考えていた際には煮詰まっていたアイデアも、色々な人との「雑談」の中で「パッ」と何かがひらめくということは皆さんも経験があるのではないかと思います。あるいは、何かを行いたいと思った場合に、自分一人では難しいけれど、他の人の力を借りることで実現できるということも多くあります。

「他者の力」=「繋がりの力」をうまく生かすことで、自分自身が考えている「アイデア」に関連する情報の収集範囲を大きく広げられるだけでなく、アイデア実現の鍵となるリソースを実際に入手することも場合によっては可能となります。従って、アイデアを考える際には「誰と」「どこと」繋がったらよりアイデアが大きく広げられるかを常に意識することが重要です。

最後の「時系列」は、過去や現在の情報から、未来を想像することを意味します。経営者の中には「論語」等、中国の古典を愛読する人も多いですが、このような「過去の情報の蓄積」から、アイデア実現に関するヒントを得られることは多くあります。また、ソフトバンクの孫さんが「タイムマシン経営」と呼んだ「アメリカの最先端トレンドを日本に輸入する」モデルは、別の地域における「現在」の情報から、自分が活動する地域の「未来」を考えるためのヒントを得るモデルとも捉えることが出来ます。ここから考えると、例えば日本が世界最先端を走っている「少子高齢化」も、見方を変えれば「解決策を見いだせれば、将来、世界中に展開可能な千載一遇のチャンスとなる」と考えることも出来ます。

どのような内容であれ、アイデアは「今この瞬間」よりも先の「未来」に実現されるものですが、そのためには「時系列」を注意深く捉え、過去や現在の様々な情報や状況から「何か活かせることはないか」と考えることが重要です。その点ではやはり「本を読む」ことは「過去を知る」という点で非常に大切な手段になります。私の場合、直近では出光創業者の出光佐三をモデルとした小説「海賊と呼ばれた男」には、ビジネス上の様々なアイデアのヒントだけでなく、「経営者としてどうあるべきか」「人間としてどうあるべきか」を非常に多く教えられました。アイデアの引き出しが一気に増えたことを実感できた久々の本でした。上下2巻で700ページ以上ありますが、一気に読めますので、是非皆さんにもお薦めしたいです。

まとめますと、アイデアを発想する上では「効果的にアイデアを膨らませるためのキー情報」が存在し、具体的には

・テクノロジー
・ネットワーク
・時系列

この3点と、アイデアの基本となる情報を「掛け合わせる」ことが重要なポイントとなります。

アイデア発想の際には、まずは自分自身で「極限まで考える」ことが必要です。何も思いつかない段階、あるいは少し思いついた段階で誰か他の人に聞いてしまう、言い換えればすぐに外部の助けを借りようとすると、「自分で考える癖」が付かなくなります。従って、まずは「足し算」「引き算」を「自分で考える」ことがアイデア発想の上では大切です。一方で、自分自身だけでアイデアを考えていると、発想の広がりがどこかでストップしてしまうことも、また事実です。そのような場合は是非、今回の「かけ算」の発想で、「技術」「繋がり」「時系列」にヒントを得ることが出来ないかを考えてみていただければと思います。

(担当:佐藤 啓

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第八回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想に繋げるための情報の統合方法の基本をお話ししました。情報の統合を考える際には、大きく、

・足し算
・引き算
・かけ算

の3つの考え方があり、中でも足し算が最も基本的なアプローチであることを説明しました。足し算による情報の統合については、

・アイデア発想の基本は「足し算」である
・足し算の基本は「あったらいいのに」を考えることから始まる
・2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えてみる

以上のポイントを押さえておく必要がありました。

今回のコラムでは、情報の統合方法の2番目の方法である「引き算」について説明したいと思います。

アイデア発想の基本は「足し算」なのですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということわざにもある通り、あまりにもいろいろな情報を足し合わせすぎると、かえってアイデアの本質がぼやけてしまうことが多くあります。

分かりやすい例が直近のスマートフォンの機能進化でしょう。従来のケータイからスマートフォンに市場が急速にシフトする中で、元々の携帯電話の機能であった「通話」や「メール」以外の様々な機能がスマートフォンに追加されています。これを便利と感じるユーザーがいる一方で、従来のケータイユーザーからは「こんなにたくさんの機能は使いこなせないだろう」「シンプルに、電話とメールだけが利用できれば良い」という声も多く聞かれているようです。

従来のケータイはOS(基本ソフト=スマートフォンであれば、AndroidやiOS)やアプリを全て独自に開発・チューニングする必要がある関係で、現状ではスマートフォンよりも開発コストが相当高くなってしまっています。そのため、この原稿を書いている2013年の夏モデルに関しては、主要3キャリアからはケータイの新機種は一つも発表されず、スマートフォンのみが市場に投入されています。一方で、例えばNTTドコモで近年最も売れた端末はパナソニックの「P-07B」という通常のケータイであるという話もあります。ソフトバンクでもiPhoneの次に売れているのは通常のケータイだそうです。

スマートフォンにはその特性上、色々な機能を簡単に追加できますが、今でも従来のケータイが売れ筋であるという事例からは、単に「足し算」で考えるだけでなく、逆に「携帯電話の本質=通話とメール」以外の機能は「引き算」で考えることで、よりシンプルに、市場が望むものを想像することが可能となることをイメージできるかと思います。実際にこの流れは、今年の春モデルくらいから徐々に見られる「シンプルスマホ」=機能や操作画面をシンプルにしたスマートフォンにて現れてきており、従来のケータイの開発が現状では難しい以上、このようなシンプルスマホの流れも今後は目立ってくるのではないかと私は考えています。

アイデア発想において「引き算」が有効となる最も分かりやすい場面は、「プレゼン」や「デザイン」です。一目で分かるプレゼンのスライドや、パッと見て印象に残るデザインを想像していただければ分かりやすいのですが、どちらもその構造が非常に「シンプル」であることが多いと思います。シンプルとは「わび・さび」にも繋がるポイントですが、言葉を換えれば「余計なものを極限までそぎ落とし」「伝えたいことの本質に迫る」作業と捉えることも出来ます。

このような作業を行う場合、最初から「引き算」が可能なわけではありません。あくまでも、最初のステップは「足し算」、すなわち必要な情報の「組み合わせ」をいくつか考えることからスタートします。ただし、大切なポイントは、単に「足し算」を行っただけで済ませるのではなく、ある程度の情報を足し合わせ、ここから先はもう追加する情報はないと判断した時点で、そこから一歩引いて客観的に「本質」を考え、本質に対して不要なものを見極めながら「引き算」をすることとなります。この「一歩引いて客観的に本質を考える」ステップを踏まずに、足し算だけでアイデアを考えてしまうと、「余計な機能がたくさん入った」=「市場を向いていない」製品が出来てしまったりする可能性が高くなるわけですね。

まとめますと、

・情報の統合においては、「引き算」も「足し算」と同様に重要である
・足し算での情報の組み合わせをある程度考えた上で、次に引き算を考えてみる
・引き算を行う際は常に「アイデアの本質」を客観的に見据えた上で、余計な情報のそぎ落としを意識する

以上が「引き算」に関しての重要なポイントとなります。

「押しでもダメなら引いてみる」ではないですが、アイデア発想の上では、足し算と引き算のバランスが非常に大切です。
何を足し、何を引くか。足し算と引き算の発想が自由に行えるようになると、アイデア構築の効率が一層高まります。是非参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第七回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想の上で必要となる様々な情報の収集源について、私が日常的に利用しているものをいくつかご紹介しました。ニュース・雑誌・書籍等のいろいろな情報がある中で、アイデアの基となるヒントは「ゴミ箱」=通常ならば見落としてしまうような、メルマガやDM等の中にも入っている可能性があるので、時々見てみると何か良い発想がひらめくかもしれない、という点がポイントでした。

第四回のコラムから前回のコラムまでは、いわゆるアイデアの基となる情報の収集に関するポイントをテーマにお話をしてきましたが、今回のアイデア発想法コラムからは、具体的にアイデアを構築していく段階での具体的な考え方についてのお話をしていきたいと思います。

問題を発見し、その問題の原因を考察した上で、必要と思われる情報の収集を幅広く行った後で必要となるアイデア構築作業は、一言で言えば「統合」になります。アイデアに繋がる様々な情報をどのように「統合」して、アイデアの原型を形作るか。この統合方法の基本的なポイントを押さえておくことで、発想を効率的に広げることが可能となります。

アイデア発想に繋げるための情報の統合方法は大きく、

・足し算
・引き算
・かけ算

この3つの手法があります。今回のコラムではその中で最も基本である「足し算」についてお話しします。

アイデアの元々の定義が「情報の新しい組み合わせ」であることからも分かる通り、まずは様々な情報を「足し合わせて」新しい価値を考え出すことがアイデア発想の基本となります。例えば「自転車」であれば、古くはホンダのスーパーカブ、近年では電動アシスト付き自転車のように、「自転車」と「動力機関」の組み合わせで新しい乗り物の価値を創造したり、「ウォシュレット」であれば、「便座」と「洗浄機能」の組み合わせで新しいトイレ用の機器を生み出したりなど、「足し算」によって新しい価値が構築されている事例は数多くあります。

足し算でアイデアを発想する際のキーワードは

あったらいいのに

です。

例えば、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン等のモバイル機器を持ち運ぶ方の中では、バッテリーで使用できる時間を気にされる方も多いと思います。私自身もその一人なのですが、一日外出をしている間、AC電源に一度も接続できなくてもモバイル機器を安心して使えるようにするための「モバイルバッテリー」が最近では人気を集めています。ただ、このモバイルバッテリーですが、USB経由での給電を行うものが現在では主流で、家庭用のコンセントと同じACプラグを備えているものは殆どありません。充電器の中には、ACプラグのみに対応しているものもまだ多いですので、「あったらいいのに」を考えると、

「モバイルバッテリー」に「ACプラグ」があったらいいのに

と、なるわけですね。

実際いろいろ検索してみると、カメラマン向けの機材で、ストロボを電源のないところでも使用できるように、バッテリーとDC/ACインバータを内蔵した機材は市販されていましたが、重量が約1.6kgと、携帯できる大きさとしてはやや大きい印象がありました。これ以外にもノートパソコンに給電可能なモバイルバッテリーもありますが、私の使っているノートパソコンは電源コネクタの形状が特殊で使用できないため、テストとして自動車用のDC/ACインバータとモバイルバッテリーを繋げて、モバイルバッテリーから100V電源を取れないかなと思っています(すみません、ちょっとマニアックな話で)。

もちろんですが、ニーズ云々の問題がありますので、上記のような製品が市販化されるかどうかは別問題です。ですが、アイデア発想の上ではこのような「あったらいいのに」を考えることが近道であることはイメージしていただけるのではないかと思います。

もう一点、足し算で考える際の重要ポイントは、

2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えられないか

という点になります。

2つの情報の組み合わせだけでは、他の人も容易に発想できる可能性が高いですので「オリジナリティ」や「競争有意性」が働きにくくなってしまいます。これが、3つや4つ以上の情報の組み合わせとなると、同じ発想が別の場所で発生する確率は低くなります。例えば、私自身が常々思っているのは「クレジットカードやポイントカードの束を、なんとかできないか?」ということです。クレジットカードだけでなく、ポイントカードや会員証等々まで入れると、私自身が日頃持ち運ぶカードの束は、厚さでいえば2cm近くになります。これを1枚のカードに情報を全て集約することが出来れば、どれほど楽になることでしょう。

この「複数のカード情報を1枚に集約する」という基本機能に加えて、例えば「表面をディスプレイにして、カードの画像を都度切り替えて表示できるようにする」「通信機能を付けて、お店に入ったら自動的にそのお店のポイントカードが表示される」等の機能を「足し算」していくと、オリジナリティが高くなっていきます。個人的には、ソニーがFelica技術と有機EL(あるいは電子ペーパー)の「足し算」で、このような「スマートカード」を作ってくれないかな・・・と思ったりしています(どうでしょう、ソニーさん?)。ちなみに、スマホのアプリではこれに近いものは存在しますが、「ATM」や「自動券売機」等での利用を考えると、カードサイズのモバイルデバイスのニーズは間違いなく今後も存在するのではないかと私自身は思っています。

まとめますと、

・アイデア発想の基本は「足し算」である
・足し算の基本は「あったらいいのに」を考えることから始まる
・2つだけではなく、3つ以上の組み合わせを考えてみる

ことが、今回のお話のポイントとなります。まずは、皆さんがお使いの身近なアイテムに関して「あったらいいのに」を考えてみることから始めますと、アイデア発想の訓練を楽しく行うことが出来るかと思います。是非、参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓

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ビジネスパワーアップコラム<アイデア発想法編> 第六回

前回のアイデア発想法編コラムでは、アイデア発想の上でのキーポイントとなるバックグラウンド収集=ながら収集についての具体的な方法を説明しました。バックグラウンド収集においては、

・特定の意図を思い浮かべずに様々な情報に触れ(情報のシャワー)
・その情報を解釈し(情報の咀嚼)
・要点や「気づき」のみを記憶した上で、情報の詳細は別途記録する(情報の記録)

これらの作業を日頃から継続的、かつ地道に行うことが基本となることを押さえておく必要がありました。そしてその際には、同時に「アイデア発想=問題解決のヒント」が「必ずあるはずだ」という潜在意識を常に持ち続けることが重要であり、「あきらめない」ことがアイデア発想に繋がることも改めて認識しておく必要がありました。

今回のコラムでは、実際に情報のバックグラウンド収集を行う際に役立つ、アイデアのヒントが眠っている「情報源」をいくつかご紹介したいと思います。
これらの情報源は、日頃から私自身が接しているものの中から、実際にアイデアを生み出すきっかけとなったものをピックアップしていますので、参考としていただければ幸いです。

■ ニュースサイト

Yahoo! JAPAN
msn.com

情報収集で欠かせないのは、やはりニュースサイトです。私自身の場合は、日経や朝日・読売・産経なども目を通しますが、Yahooとmsnが一番多いです。Yahooやmsnの場合、多数のニュース・雑誌サイトからのピックアップ記事がまとめて掲載されていますので、特定のジャンル等に偏ることなく、様々な情報を網羅できます。

この場合のポイントは、経済やビジネス寄りの記事だけでなく、政治や芸能・エンターテインメント、海外等、様々なジャンルのニュースに一通り目を通すことと、タイトルを見て面白そうな記事があれば、都度ブラウザのタブを新規に開き、本文を表示させてしまうことです。一つのタブ内で記事のタイトル一覧から本文に入っていくことを繰り返していると、操作に時間がかかるのはもちろんですが、タイトル一覧が都度消えてしまうので、記事の全体的な傾向が見えにくくなってしまいます。ですので、まずは記事タイトル一覧を全体的に眺め、興味のある記事は全て「新規タブで本文を開く」ようにすると、効率的な情報収集が可能となります。

■ 雑誌サイト

WIRED
東洋経済オンライン
ダイヤモンドオンライン
WEDGE Infinity

ビジネス雑誌系のサイトもアイデア発想の上では非常に役立ちます。その中でも、私自身の一番のお薦めは「WIRED」です。元々は「ロングテール」「メイカーズ」といった概念を提唱したクリス・アンダーソンが編集長を務めていた雑誌ですが(アンダーソンは現在は編集長を退いています)、ビジネスに関する情報だけでなく、新しい技術や概念、トレンドなどの話が盛りだくさんで、「気づき」が非常に多いのが特徴です。私自身はWIREDに関しては、サイトの閲覧だけでなく雑誌自体も購入しています。季刊で年4回の発行ですが、すぐに売り切れてしまうので、興味のある方はAmazon等で予約購入することをお勧めします。

■ 書評

ブック・アサヒ・コム
日本経済新聞 ブックレビュー
本よみうり堂

書評については、ビジネスとは少し離れたところで、普段接しないような情報を得るためのきっかけとして利用しています。毎日ではなくても、定期的に目にすることで、面白い情報を得られることがあります。そして、気になった本は「とりあえず買う」ことですね。もちろん、全てを読めるわけではないのですが、ふとしたときに手に取ることで、新しい発見があることも多いです。

書籍に関していえば、時々は実際の書店に足を伸ばすこともお薦めです。私自身は平均して2-3日に1回はAmazonで本を買っていますが、月に1回は書店にも足を運ぶようにしています。その際は、普通に生活していると縁がないようなジャンルの雑誌や書籍を3-4冊まとめて買うようにしています。先日は「猫びより」という猫の雑誌を買いましたが、猫の話だけでここまで書けるのか・・・と、雑誌の構成や内容から「気づき」を得られました。

■ その他

上記以外の情報収集手段として私が使っているのは「メルマガ」や「DM」です。メルマガやDMと言いますと、「勝手に送りつけられる」といったネガティブなイメージを持たれるかもしれませんし、実際には全く役に立たない情報も多いと思います。しかし、ごくまれに「これだ!」という情報が紛れ込んでいることも事実です。

「情報はゴミ箱の中に」という今回のコラムのタイトルは、マクドナルドの創業者であるレイ・クロックの自伝「成功はゴミ箱の中に」から拝借したものですが、まさに「ゴミ箱の中に宝が眠っている」こともあるのが、メルマガやDMだったりすると私自身は考えています。

弊社の事例ですと、ライブセミナーシステムの原型となるアイデアのきっかけは、一通のスパムメールの中にありました。私自身は時々、スパム・ジャンクメールの整理をするのですが、通常はタイトル等を選択し、中身は確認せずに一括削除するにも関わらず、このときは「たまたま」中身を確認していたのですね。そのときにふと「ひらめいた!」のがライブセミナーの原型でした。

ですので、ゴミをゴミのままにするか、宝に変えるかは意識次第とも言えるかもしれません。ただし、ゴミ箱の中身をしっかり確認することを仕事にしてしまうと、本業を行う時間が取れなくなってしまいますから、そこはあくまでも「運が良ければ」という程度にしておくと良いのだと思います。

今回のコラムでは私自身が日頃から接している情報源のうち、お薦めの物をいくつかご紹介しました。これらの情報収集はあくまでも「ながら収集」で行うべきものですので、本業の時間に差し支えのない程度に、気分転換を兼ねて行うのが良いと思います(と言いつつ、私自身も気がついたらニュースサイトを1時間くらい見てしまっていることはよくありますが・・・)。問題意識を持ちつつ、多様な情報源に接することがアイデア発想の上では大切ですので、参考にしていただければ幸いです。

(担当:佐藤 啓